派遣の契約書

派遣会社では、日々たくさんの雇用契約が結ばれています。派遣の契約書内容について、これから事業を始めようとしている方はきちんと把握しておくと良いでしょう。また、すでに対応しているという事業者はおさらいもかねてチェックしてみてください。

今回は、必要な書類の確認と、作成・管理するときに注意するポイントを3つ紹介します。お伝えする内容をしっかりと把握して、トラブルのないスムーズに雇用契約を結んでいきましょう。

人材派遣業について

契約書の内容の前に、人材派遣業について解説していきます。派遣はアルバイトや正社員と比較しても少し複雑な雇用形態です。仕組みや法律についてしっかり把握しておくと、契約書の内容もスムーズに理解しやすくなります。

派遣の仕組み

派遣会社が派遣先となる企業に人材を派遣する働き方の一つです。派遣社員は派遣会社と雇用契約を結んでいるため、働く場所は派遣先の企業であっても雇用主は派遣会社となります。派遣社員への福利厚生・給与支払いも派遣会社から行われます。

正社員やアルバイトの場合、雇用主の元で働くことになりますが、派遣社員の場合、業務指示は派遣先で受けつつサポートや交渉は派遣会社が行うという違いがあります。

契約までの流れとして、まず派遣会社が派遣先企業と基本契約を結びます。その後に接触日の通知を行います。派遣法で定められた事業所単位の派遣受入期間を超えないようにするための措置として必要です。

その後、個別契約を締結してから派遣先台帳を作成・保存をして完了です。派遣社員は紹介先が決まったら雇用契約書をかわしてから就業という流れとなります。

派遣の種類

派遣には2つの種類があります。「登録型派遣」と「常用型派遣」です。登録型も常用型も基本的な契約の流れや必要書類は同じです。

登録型派遣

「登録型派遣」とは、案件が決まった状態で雇用契約を交わし、決められた就業先に決められた期間勤務する働き方です。派遣先での就業中しか給与が発生しないものの、さまざまな派遣会社に登録することができるため、身軽に働きやすくなります。

ライフスタイルが変化しやすい方や融通を利かせながら働きたいと考える方には登録型派遣が働きやすいといえます。

常用型派遣

「常用型派遣」とは、派遣会社と雇用契約を結んだ後に案件の紹介をするもので、紹介を待つ間にも給与が発生します。「常用型派遣」は無期雇用派遣とも呼ばれ、派遣会社に社員として雇用されているため収入が安定しやすく、案件が終了してからも継続的に次の案件を探してもらえます。

専門的なスキルを求める職種や、長期プロジェクトがある企業からのニーズが高いです。割合としては理系の専門職や資格を要する介護職などでも常用型派遣の形を取る企業が増えてきました。

労働者派遣法

派遣業において「労働者派遣法」の理解は欠かせません。ここでは、派遣の契約書にかかわる部分について解説していきます。

派遣社員と派遣会社が雇用契約を結ぶために、派遣会社と派遣先の企業は派遣法第26条に則り「労働者派遣契約」を締結する必要があります。派遣社員が安心して派遣先で働けるように取り交わすもので、派遣期間や制限・規則の有無などのルールを記載しておくことが重要です。

また、2021年に法改正が行われました。次の改正内容について確認しておきましょう。

法改正の内容

1. 電子データでのやり取りも可能
2. 雇入れ時の説明やキャリアコンサルティングの義務化
3. 派遣社員からの苦情処理は、(派遣会社に加えて)派遣先も対応が義務化
4. 労働者の契約を解除する場合は、派遣元が休業手当を支払うことが義務化(帰責事由以外の事由にて)

これまで書面の契約書しか有効ではありませんでしたが、法改正により電子化が認められたため、派遣会社の負担軽減にもつながっています。

派遣における契約書の種類

派遣契約における契約書は3つ存在しています。「派遣会社」「派遣先」「派遣社員」と交わす、それぞれの契約書について解説していきます。

契約書の種類

・基本契約書
・個別契約書
・雇用契約書

基本契約書

1つ目は「基本契約書」です。これは派遣社員を派遣する前に、派遣会社と派遣先が取り交わす契約書です。2社の企業間で前提とするルールについて文書化したものです。契約期間中に派遣社員が入れ替わっても基本契約書の内容は変更されるものではありません。

損害賠償が発生した時の対応や派遣の料金形態、禁止することについてあらかじめまとめておきます。かならず納品できる製品と違い、人材は流動的ですのでいつ・何があるかわかりません。「派遣社員と連絡が着かなくなってしまった」、「急に休みたいと言われた」などの細かなトラブルは頻繁に起こりえます。

対応に困ったり、企業間トラブルに発展しないようにしたりするためにも基本契約書を交わしておく必要があるのです。

基本契約書は派遣労働法で義務付けされているわけではありません。しかし、双方の認識を揃えるために有効な書類なので、ほとんどの派遣会社が取り入れています。

個別契約書

2つ目は「個別契約書」です。こちらは実際に派遣社員を派遣する際に、個々のルールについて記したものです。

派遣社員の業務内容・就業時間・派遣期間などが記載され、派遣社員は個別契約書で定められた中で就業していきます。派遣先の企業は、個別契約書の通りに業務指示を出すため、基本契約書よりも具体的な業務内容について書いておくのです。

また、基本契約書と異なり、派遣労働法で作成が義務付けられている書類です。派遣社員を不当な扱いから守るための重要な契約書です。

雇用契約書

3つ目は「雇用契約書」です。雇用契約書は派遣社員と派遣会社が交わす契約書です。派遣として雇用する際に支払う賃金や休業補償についてなどを明記しており、派遣社員へ提出します。

雇用契約書を交わさずに就労してしまうと、労働基準法第120条の罰金30万円以下の刑事罰の対象となる可能性があります。十分に注意しておきましょう。

派遣における契約書の内容

契約書

ここまで、「基本契約書」「個別契約書」「雇用契約書」と2つの書類について概要を説明してきました。詳しい記載内容についても解説するので、順番にチェックしていきましょう。

基本契約書の記載事項

基本契約書に記載する項目は次のとおりです。

記載項目

・目的
・納入・検収
・所有権の移転時期
・不具合・トラブル時の担保責任
・契約期間
・解除
・個別契約の適用範囲

料金や損害賠償の内容、禁止する事項などを派遣会社と派遣先企業で決めておきます。具体的な就業についてというよりも、企業間でトラブルが発生したときにどのような対応を行うか事前にルールを把握し合うイメージの書類です。

個別契約書の記載事項

個別契約書に記載する項目は次のとおりです。

記載項目

1. 許可・届出番号          
2. 業務内容       
3. 就業場所       
4. 組織単位       
5. 指揮命令者   
6. 派遣期間       
7. 就業日           
8. 就業時間       
9. 休憩時間       
10. 安全及び衛生            
11. 派遣労働者からの苦情の処理 
12. 労働派遣契約の解除にあたって講ずる派遣労働者の雇用の安定を図るための措置
13. 派遣元責任者            
14. 派遣先責任者            
15. 就業日外労働            
16. 時間外労働
17. 派遣人員
18. 派遣労働者の福祉増進のための便宜の供与

労働者派遣法第26条で定められている内容で、全部で18項目あります。基本契約書よりも就業に関する内容が多く、派遣社員がトラブルに巻き込まれないように事前に交わす契約内容です。

基本契約書でベースの取引ルールを決め、個別契約書ではより詳細のルールを決めているため、2部の書類が揃っていることで契約内容が明確になります。労働局では派遣会社向けにテンプレート書類を用意しているので、内容に沿って作成していくとよいでしょう。

参照元:厚生労働省東京労働局「労働者派遣事業に係る契約書・通知書・台帳関係様式例」

雇用契約書の記載事項

雇用契約書に記載する項目は次のとおりです。

記載項目

・労働契約の期間
・就業場所
・従事する業務の内容
・始業時刻と終業時刻
・交代制のルール
・所定労働時間を超える労働の有無
・休憩時間、休日、休暇
・賃金の決定、計算、支払方法、締切日、支払日
・退職や解雇に関する規定

相対的に記載が必要な項目は次のとおりです。

相対的に記載が必要な項目

・臨時に支払われる賃金、賞与、精勤手当、奨励加給、能率手当について
・最低賃金額
・退職手当の定めが適用される労働者の範囲
・退職手当の決定・計算・支払の方法
・退職手当の支払時期
・労働者に負担させる食費、作業用品など
・安全衛生に関する事項
・職業訓練制度
・災害補償・業務外の傷病扶助制度
・表彰や制裁の制度
・休職に関する事項

個別契約書は派遣社員全般に対して交わす契約ですが、雇用契約書は特定の個人向けに対する契約です。口頭確認でも良いのですが、書面で残しておく方がなにかあった時に安全です。そのため業務内容・補償内容なども具体的に記載される書類になります。

締結のタイミングは面談のあと採用が決まったあとです。就業するまでに回収しておきましょう。

派遣における契約書作成の注意点

派遣契約を行う際、契約書の作成にはいくつか注意点があります。3つのポイントについて解説していきます。

注意点

・自動更新されない
・保管期限があるか
・業務内容が正確か確認する

自動更新されない

1つ目の注意点は、自動で更新されないという点です。

派遣会社がスタッフとコンスタントに連絡を取り状況を把握していれば、契約更新の有無も予測を立てやすいかと思います。まずは、派遣先に対して契約更新の有無を確認しましょう。

更新するという流れになれば、契約書を再度交わす必要があります。一般的に契約満了日の30日前までには更新の有無が決まります。

実は、このタイミングの契約更新は必ず文書である必要はありません。口頭での約束でも有効です。ただし、後々トラブルにつながる可能性もありますので、ほとんどの派遣会社が契約書を用意します。初回の契約と異なる点がないか、念のため確認しながら書類を作成しましょう。

保管期限があるか

2つ目の注意点は各書類の保管期限についてです。派遣社員の就業にかかわる記載がされている派遣台帳は保管期限が定められており、3年間と決まっています。

ただし、基本契約書・個別契約書についての保管期限は明確な基準はありません。派遣契約の期間中は保管しておくことをおすすめします。

もしくは、会社内で独自ルールを設けて期限を決めたり、一定期間過去の書類に関しては電子化してストックしたりしておけば、場所を取る心配もありません。

業務内容が正確か確認する

3つ目の注意点は、派遣社員に任されている業務内容です。

派遣社員とは、契約書に記載のある範囲の業務しか行うことができません。そのため、あらかじめ契約書内に書いてある業務内容は正確なものかきちんと確認しておくことが重要です。

責任の程度や所在についても明らかにしておく必要があります。メンバーを持つ仕事を行う場合「何名の部下に対して指示を行うのか」「ミスやクレームの対応はどの頻度であるのか」といった細かなことまで決められます。

その範囲以上の指示は受けられないため、派遣社員だけではなく派遣会社でも把握しておくようにしてください。

まとめ

派遣会社は人材を扱っているため、思いもよらないトラブルに巻き込まれることも多くあります。企業間だけではなく派遣社員ともルールを擦り合わせ、契約書を交わしておくことは非常に重要です。

記載内容に不備がないよう、今回の記事を参考にしながら漏れなく揃えていきましょう。

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