求人管理簿

有料職業紹介をこれから始める方も、すでに関わっている方も含めて、帳簿について曖昧な知識のままではなりません。急な監査や提出を求められてもスムーズに対応できるようにきちんと揃えておきましょう。

今回は、職業紹介の種類や特徴を紹介し、求人・求職管理簿、手数料管理簿などの帳簿に記載するべき内容も細かく解説します。2018年の職業安定法の改正により一部記載内容に変更点もあるため、4つの改正ポイントもチェックしましょう。

デジタル化への移行を検討されている方に向けておすすめのサービスも紹介するので、ぜひ最後まで読んでみてください。

職業紹介の種類

職業紹介(人材紹介)には、大きく分けて有料と無料の2種類があります。まずは、それぞれの違いと特徴について解説していきます。

有料職業紹介

有料職業紹介は、紹介手数料などを企業からもらいながら行う事業です。サイトや事業所に求職者からの登録を集め、人を求めている企業とマッチングさせるビジネスを指しています。

通常の「登録型」、ハイキャリア向けの「エグゼクティブサーチ型」、早期退職者向けの「再就職支援型」という3つの種別があります。

企業向けのコンサルティング営業と、求職者向けのサポート活動を並行して行う必要があり、大手であればリクルートアドバイザー(RA)・キャリアアドバイザー(CA)の2つに職種が分かれています。中小企業であれば両面営業として、企業も求職者も対応するケースが多いでしょう。

事業運営には、厚生労働大臣の許可を受ける必要があります。ちなみに、有料職業紹介を無許可で始めてしまった場合、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」が科される可能性があるため、十分気をつけてください。

無料職業紹介

無料職業紹介とは、地方公共団体が運営している、ハローワークを筆頭とした無料で利用できる職業紹介サービスです。労働力を確保するための利用が多く、中高年の登録が多い傾向にあります。

種類は4つあり、地方公共団体・商工会議所・学校・一般企業が厚生労働大臣の指示を受けて行っているものに分かれています。就労先の紹介だけではなく、職業訓練を受けることができたり、手当をもらいながら講座を受けたりすることもできます。

有料職業紹介に必要な帳簿

求人管理

有料職業紹介業では、事業所ごとに、大きく分けて3つの帳簿(求人管理簿・求職管理簿・手数料管理簿)を用意する必要があります。それぞれの内容や保管のルールについて解説していきます。

参照元:職業紹介事業の業務運営要領

求人管理簿に記載する内容

求人管理簿に記載する項目は次の11項目です。

記載内容

1. 求人者の氏名又は名称:求人者が個人の場合は氏名を、法人の場合は名称を記載してください。求人者が複数の事業所を有するときは、求人の申込みおよび採用選考の主体となっている事業所の名称を記載しましょう。
2. 求人者の所在地:求人者の住所を記載します。
3. 求人に係る連絡先:求人者において、求人および採用選考に関し、必要な連絡を行う際の担当者の氏名及び連絡先電話番号等を残しておきましょう。
4. 求人受付年月日:求人を受け付けた年月日を記載してください。同一の求人者から、複数の求人を同一の日に受け付ける場合で、受付が同時ではない場合、理由も一緒に残しましょう。
5. 求人の有効期間:求人の取扱に当たって、有効期間がある場合は、有効期間を記載するとともに、有効期間が終了した都度、その旨記載しておいてください。有効期間については、事前に求人者に説明しておきます。
6. 求人数:募集人数を記載します。
7. 求人に係る職種:当該求人により雇い入れられた労働者が従事する業務の職種を記載します。
8. 求人に係る就業場所:勤務地を記載しておきます。複数ある場合はすべて漏れなく明記してください。
9. 求人に係る雇用期間:雇用期間について決まりがあれば明記しておきましょう。
10. 求人に係る賃金:労働者の賃金を記載してください。諸手当や固定残業代が含まれている場合は、内容も詳しく残しておくようにしてください。給与の幅がある場合は下限〜上限を書き、時給や月給などの区別もきちんと記載しておきます。
11. 職業紹介の取扱状況:職業紹介を行った時期、求職者の氏名、採用・不採用の経緯等を記載することとし、採用された場合は採用年月日も記載しておきましょう。

求職管理簿に記載する内容

給食管理簿には、次の7つの項目について残しておきます。

記載内容

1. 求職者の氏名:求職者の氏名を書きます。
2. 求職者の住所:求職者の住所を記載しておきます。
3. 求職者の生年月日:求職者の生年月日を書き、年齢によっては、就業に関する制限があるので注意してください。60歳以上の求職者などが対象に当たります。
4. 求職者の希望職種:求職者に職種の希望があれば、残しておきましょう。職種内容によっては求職者から受付手数料は徴収することができます。対象は芸能家、家政婦(夫)、配膳人、調理師、モデル、マネキンの6職種です。上限710円となります。
5. 求職受付年月日:求職を受け付けた年月日を書きます。
6. 求職の有効期間:有効期間がある場合は、当該有効期間を記載するとともに、有効期間が終了した都度、その旨記載しておきましょう。有効期間については、事前に求職者に説明しておくことが必要です。
7. 職業紹介の取扱状況:当該求職者に求人をあっせんした場合は、職業紹介を行った時期、求人者の氏名または名称、採用・不採用のいきさつ等を記載することとし、採用された場合は採用年月日も記載しておいてください。複数の求人があった場合は、区別できるように名称を記載しておきましょう。

手数料管理簿に記載する内容

手数料管理簿には次の5つの項目について記載しておきます。

記載内容

1. 手数料を支払う者の氏名または名称:手数料を支払う個人名、もしくは法人名を記載してください。求人者または関係雇用主が複数の事業所を有するときは、申込の主体となっている人の名前を記入します。
2. 徴収年月日:手数料の支払いが行われた年月日を書きます。
3. 手数料の種類:求人受付手数料、求職受付手数料、求職者手数料、紹介手数料等の種類を書いておきます。
4. 手数料の額:徴収した手数料の金額を書いておきます。第二種特別加入保険料を徴収している場合はその額も記入します。
5. 手数料の算出の根拠:手数料の算出根拠となった賃金、割合等をわかるように記載しておいてください。

人材紹介業では、6ヶ月間の賃金総額の11%(税込)を上回る手数料を受け取る場合、厚生労働大臣への届出が必要になります。実際の現場では、届出を行った上で25~35%の手数料をやり取りしている事業者が多いでしょう。

保管期限やルール

求人管理簿は法定帳簿であるため、2年間の保管期限があります。廃棄する場合は「文書管理規程」に沿って処理するようにしてください。

紙面の場合はスキャンをして、複製をデータで残しておくのがおすすめです。セキュリティのしっかりした、ネット環境での高いデータ管理もおすすめです。

法律違反の際の罰則

有料職業紹介事業では、帳簿の備え付けは義務とされています。

作成していなかった場合、職業安定法第66条6号の違反により、30万円以下の罰金に処されます。責任者だけではなく、法人が刑事罰を被ることになるため業務改善命令や、最悪の場合許可の取り消しにつながるケースもあります。

世間からの目が厳しくなるため、人材をうまく募集できなくなり、結果的に事業の足を大きく引っ張ってしまいます。帳簿はかならず用意するようにしてください。

改定した職業安定法

2018年に改定された職業安定法により、記載事項も追記の必要が生じています。どのような改定内容なのか、順番に解説しましょう。

求職者への労働条件の明示

求職者へ労働条件を明示することが義務化されています。追記項目となったのは次の4つの内容です。

追記項目

・雇用主の氏名または名称
・試用期間の有無と期間、期間中の労働条件
・固定残業代が含まれている場合はその内容
・裁量労働制の場合はその内容

特に試用期間について、固定残業についてはこれまでの記載を変更する必要がある会社は多くありました。

たとえば、これまで「月給25万円」のみの表記で良かったものが、「月給25万円(固定残業代 30時間 5万円分含む)※試用期間3ヵ月 月給22万円」といったように、細かく明示する必要があります。

ハローワーク、求人広告、人材紹介などすべての募集媒体へ記載が必須となっているため注意が必要です。

求人・求職管理簿の追記事項

求人・求職管理簿へ記載すべき追加事項が増えました。次の項目についても触れる必要があります。

追記項目

・期間の定めのない労働者を雇用した場合、詳しい内容の記載
・転職勧奨が禁止される期間(採用年月日から2年間は禁止です)
・無期雇用就職者については、就職から6ヶ月以内に離職したか否か

2018年の改正以前の求職者についても、可能な範囲で記録を残しておくと良いでしょう。

求職者の対応に関する留意点の追加

雇用した求職者が早々に退職してしまわないよう、注意するべき点があります。次の4点に留意しましょう。

留意点

1. 自らの紹介により就職した者(無期雇用契約のみ)に就職した日から2年間は、転職の勧奨を行ってはなりません。
2. 手数料に関して、返戻金制度を設けることが望まれます。
3. 求職者・求人者双方に、それぞれから受理する手数料の明示が必要です。
4. 求職者等を勧誘するに当たっては、お祝い金等の金銭を支給することは望ましくありません。

社内の職業紹介責任者への遵守義務の追加

人材紹介業を行っている社内の責任者が守るべき2点が追加されました。

遵守義務

1. 職業紹介従事者への教育義務(外部講習でも可)
2. 「厚労省人事労務マガジン」への登録と情報の確認

責任者は労働者の研修・教育の義務があり、スキルアップのために支援する必要があります。

また、「厚労省人事労務マガジン」への登録により、最新の労働関係法令を学ぶことができます。常に情報をキャッチし、適切な方法で人材紹介業を行っていく必要があります。

参照元:職業紹介事業者の皆様へ~事業運営のルールが変わります~<職業安定法の改正>施行日:2018年(平成30)年1月1日(厚生労働省)

まとめ

職業紹介業は、企業と人材を結びつけるやりがいのある事業ですが、その分ルールや用意する帳簿も多くなります。複数の管理簿の目的をハッキリさせて、作成や管理にミスがないよう努めてください。

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1つ目は「採用ページコボット」です。

採用ページコボット

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採用ページコボットの機能

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2つ目は「HRコボットfor応募対応」です。

HRコボットfor応募対応

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