採用メディアの活用方法

人材不足の深刻化に伴い、各企業で採用活動の刷新や強化が進んでいます。採用活動を実践する上で、有効活用したいのが採用メディアです。

一口に「メディア」とはいっても、さまざまな媒体があるため、それぞれの特徴を理解し、使い分けることが大切です。今回は、採用活動に活躍する主要なメディアや、どのような運用方法が採られているのかについて、事例を踏まえながら解説します。

採用メディアの種類

まずは、採用業務に活躍している主なメディアについて紹介します。採用メディアとして知られているのは主に次の5つの媒体で、それぞれの特徴に応じた運用方法を検討することが大切です。

採用メディアの種類

・求人広告サイト
・転職エージェント
・紙媒体
・自社採用サイト
・採用オウンドメディア

求人広告サイト

採用メディアにおいて最も代表的な媒体は、求人広告サイトです。

求人広告サイトは、インターネット上に公開されている各企業の求人情報が掲載されたメディアです。キーワードや地域、職種や待遇などで検索をかけることで、求職者は希望にあった就業先を探し出すことができます。

求人広告サイトは全国区で運営されているだけあり、とにかく求人を掲載している企業の数が多いことが特徴です。掲載企業が多いということは、それだけ職探しをしている求職者が訪問する数も多いということなので、多くの人手を確保したいという場合に重宝します。

転職エージェント

転職エージェントは、転職希望者に特化して企業と人材をマッチングするサービスを提供しているサービスです。転職エージェントサイトに登録することで、求職者は自身の希望する条件をエージェントに相談し、エージェントはあらかじめ登録されている企業情報から条件に合いそうな求人情報を探しマッチングを促します。

転職エージェントは、企業にとっては中途採用者の募集に適した媒体であるともいえます。すでに一定のスキルを有しており、現在勤めている企業に不満を抱えている、あるいは新しいことがしたいと考えている積極性を持った人材を確保できるため、優秀な人材を見つけやすいことが特徴です。

紙媒体

紙媒体は、雑誌やチラシで求人情報を掲載し、読者に対して応募を募るための採用メディアです。インターネット上の求人サイトとは異なり、紙媒体の場合は雑誌やチラシを手に取った人にしか求人情報が届かない仕組みになっているため、紙媒体を配布できる地域に情報発信が限定されます。

全国エリアに情報発信をする必要がない場合や、高齢者などあまりインターネットに触れない層に対してアプローチするのに効果的な媒体です。

自社採用サイト

自社採用サイトは、コーポレートサイトとは別に採用専門のサイトを立ち上げ、求職者に対して情報発信を行ったり、そのままエントリーを募ったりできるメディアです。

自社採用サイトの場合、情報発信のアプローチは非常に多様で、求人サイトのような字数制限なども存在しないため、自社の独自性を存分に訴えることができます。大手企業では毎年自社採用サイトを立ち上げ、新卒採用者や中途採用者の獲得を積極的に行っているケースも多く見られます。

採用オウンドメディア

採用オウンドメディアは、コーポレートサイトや採用サイトとはさらに別途運営する採用強化につながる自社のWebサイトです。

近年、集客施策の一環としてオウンドメディアの立ち上げが各社で進んでいますが、スタートアップ企業などでは採用を強化するための方法としてオウンドメディアが活用されているケースも増えています。

採用オウンドメディアは、人事や採用活動に関わるコンテンツや、会社の活動、社員の紹介など、社内情報の発信と採用面でのアピールの両方に活用することができます。採用サイトよりもさらに会社情報を詳細に発信できるため、その会社での働き方や活動内容を詳細に理解することができます。

求人広告サイトのメリットと主な事例

ここからは、先ほど紹介した各メディアの活用メリットと事例について解説します。まずは、求人広告サイトについてです。

求人広告サイトのメリット

・全国の求職者にアピールできる
・豊富な情報を掲載できる
・予算に応じた運用ができる

全国の求職者にアピールできる

求人広告サイトのメリットは、なんといっても全国の求職者にアピールできることです。

近年、テレワークが進んだり、地方創生に携わる都市部の企業も増えたり、特定の地域に縛られない働き方や業務を実践するケースが増加傾向にあります。こういった働き方や新しい地域での就業に興味のある人物を探す場合、全国エリアに向けて就職希望者を募ることで、効率良く自社業務にフィットする人材発掘を促すことができます。

豊富な情報を掲載できる

求人広告サイトは、従来型の求人媒体である紙媒体よりも広告スペースが大きく、豊富な情報発信を行えることが強みです。テキストだけでなく、画像や映像を交えて会社のアピールができるため、会社の多様な側面を見て判断してほしいという企業にとっては嬉しいメリットです。

予算に応じた運用ができる

求人広告サイトは、応募数によって料金が変動するプランや、掲載期間に応じて変動するプラン、採用が確定してから報酬が発生するプランなど、さまざまな料金形態が導入されています。

いずれのプランにせよ、自社にとって無理のない予算の範囲内で募集を募ることができ、採用ができないまま広告費だけが流出してしまうといった事態を回避しやすいため、経済的に運用可能であることが強みです。

主なサイト事例

マイナビ

マイナビ

求人広告サイトとして最もポピュラーなメディアの一つに「マイナビ」が挙げられます。全国エリアで就職求人を公開していることはもちろん、パート・アルバイトの採用も行っているため、あらゆる求人需要に対応できるサイトと言えます。

公式サイト:マイナビ

Indeed(インディード)

無料で運用でき、有料プランのカスタマイズができるサイトとして知名度を高めているのが「Indeed(インディード)」です。マイナビのような全国区での求人検索ができるだけでなく、求人広告を掲載する企業は無料での掲載もできる上、必要に応じて表示回数増加につながる有料オプションを併用し、迅速な人材確保を進められます。

公式サイト:Indeed (インディード)

転職エージェントのメリットと主な事例

続いて、転職エージェントを利用した場合のメリットについて解説しましょう。

転職エージェントのメリット

・非公式で採用活動ができる
・キャリア意識の高い人材を集めやすい
・ミスマッチを回避しやすい

非公式で採用活動ができる

転職エージェントを利用する場合、求人情報を公にはせず、エージェントにのみ伝えて最適な人材を見つけてもらえるため、非公式で採用活動を行います。

新規事業を立ち上げる際のメンバー募集など、外部にはできる限り秘密にしておきたい人材を獲得する際に役立つため、競合との競争が激しい領域の企業に好んで利用されています。

キャリア意識の高い人材を集めやすい

転職エージェントを利用する求職者は、すでにある程度のキャリアとスキルを持った人材が大半であるため、キャリア意識が高く、自身のできることや将来のビジョンについての見通しが立っているケースが多いことが特徴です。

キャリアの見通しが立っている人物ほどステップアップの意識が高く、強いモチベーションを持って自社で持ち前の能力を発揮してもらえるため、獲得後のパフォーマンスに期待できます。

ミスマッチを回避しやすい

転職エージェントを介して求人を出していると、転職エージェントが自社と条件や人格がフィットしそうな人物をピックアップしてくれるため、ミスマッチを回避しやすいというメリットがあります。

一から自社に合いそうな人材を発掘する必要がないため、採用活動を効率化という点でもエージェント利用は大きなメリットが期待できます。

主なサイト事例

転職エージェントは人材の流動化に伴い、多くのサービスが登場しつつある分野です。

ビズリーチ

ビズリーチ

人気のある媒体としては、まず「ビズリーチ」が挙げられます。即戦力となれるスキルセットを持った転職者を厳選して紹介しており、専門職や管理職といったハイクラス転職希望者を探している企業には嬉しいサービスです。

公式サイト:ビズリーチ

リクルートエージェント

リクルートエージェント

一般職の人材を募集している場合には、ネームバリューのある「リクルートエージェント」が活躍しています。転職希望者に対して専任のコンサルタントがつき、膨大な数の非公開求人から最適な求人情報をピックアップして紹介しています。

公式サイト:リクルートエージェント

紙媒体のメリットと主な事例

続いて、紙媒体を求人に利用するメリットを解説していきましょう。

紙媒体のメリット

・特定地域の求職者にアピールしやすい
・偶然の出会いを創出しやすい
・原稿作成をプロに任せられる

特定地域の求職者にアピールしやすい

紙媒体を利用するメリットとして大きいのは、特定の地域で生活している求職者にアピールしやすいことです。紙媒体の求人メディアは全国区ではなく、雑誌を配布している地域が限定されているため、配布地域の求人情報に特化した情報が掲載されています。

パート・アルバイト募集を探している人のように、家の近くで働きたいなどの条件にこだわる人にアピールしやすい場であるため、こういった求職者を探している際には有効です。

偶然の出会いを創出しやすい

紙媒体の求人メディアは、自分にとって興味のなかった、あるいは存在を知らなかった求人との出会いを創出できることも強みです。

「なんとなく手に取ってみたら、思っていたよりも条件の良い求人が見つかった」「今の職場よりも居心地の良さそうな職場を見つけた」という出会いを促せるため、多様な人材確保にも貢献します。

原稿作成をプロに任せられる

紙媒体のメディアの中には、原稿作成を専任のライターに任せることができるメディアも存在します。自社で求人原稿を作る余裕がないという場合も、安心して求人広告を出稿できます。

主な紙媒体の事例

タウンワーク

タウンワーク

紙媒体の採用メディアの中で最もポピュラーなのが、「タウンワーク」です。求人エリアや広告サイズに応じて料金プランが決まっているので、最適なコストパフォーマンスを実現できるだけでなく、迅速な広告掲載で人材を早期に確保したい場合にも安心です。

公式サイト:タウンワーク

ジョブアイデム

ジョブアイデム

設置範囲が広く、できるだけ多くの人に求人情報を知ってほしい場合には「ジョブアイデム」が活躍しています。複数勤務地の募集も一冊でカバーできる範囲をフリーペーパーで確保できるので、広告効果の高い媒体です。

公式サイト:ジョブアイデム

自社採用サイトのメリットと主な事例

続いて、自社採用サイトを立ち上げる際のメリットについて解説していきましょう。

自社採用サイトのメリット

・詳細な企業情報を発信できる
・採用コストを削減できる
・自社に興味の強い求職者を見つけやすい

詳細な企業情報を発信できる

自社採用サイトは、求人広告サイトよりも詳細な企業情報を発信できます。サイトデザインからテキストの内容に至るまで、質・量の両面からアピールが可能です。求人広告サイトだけでは情報発信が不十分と感じる場合に役立ちます。

採用コストを削減できる

自社採用サイトは、自社で採用活動を行う場合に活躍するため、他社の求人媒体を利用するよりも採用コストを抑えられる可能性があります。サイト構築の費用などはかかるものの、広告掲載費用や採用成功報酬が発生せず、結果的にはリーズナブルな施策となり得ます。

自社に興味の強い求職者を見つけやすい

わざわざ自社採用サイトを閲覧する求職者は、他の求職者に比べて自社に高い関心を抱いていると考えられるため、マッチング率の高い人材を見つけやすいというメリットもあります。

自社採用サイトを訪問してもらうことで、自社についての情報も深く知ってもらえるため、相性の良い人材を見つけたい場合には効果的な施策です。

主な自社採用サイト導入事例

博報堂、博報堂DYメディアパートナーズ

博報堂、博報堂DYメディアパートナーズ

自社採用サイトを導入している企業の例としては、たとえば広告会社の株式会社博報堂の採用サイトは非常にディテールまでこだわったサイトであることがわかります。

年度ごとに新しい採用サイトを制作し、毎年のトレンドをおさえたデザインを実装、及びメッセージの発信にも力を入れているので、強力なインパクトを求職者に残しています。

公式サイト:博報堂、博報堂DYメディアパートナーズの新卒採用

トヨタ自動車株式会社

トヨタ自動車株式会社

比較的落ち着いたデザインのサイトとしては、自動車メーカーのトヨタも挙げられます。車を作るだけにとどまらない、幅広い職種を募集していることや、社員インタビューを通じて自社の魅力を口語的に発信するなど、多くの情報発信を採用サイトで実施しています。

公式サイト:トヨタ自動車株式会社

採用オウンドメディアのメリットと主な事例

ここでは、採用オウンドメディアの運用メリットについて解説していきましょう。

採用オウンドメディアのメリット

・自社の仕事観を詳細に伝えられる
・人材ニーズを発信してミスマッチを回避できる
・企業のブランディングにつながる

自社の仕事観を詳細に伝えられる

採用オウンドメディアは、自社採用サイトよりも日常的な情報発信を行うための場であるため、よりリアルな仕事の内情を発信できるのが強みです。日々の業務の酸いも甘いも余すことなく発信することで、自社と共感が持てる人材の発掘を促します。

人材ニーズを発信してミスマッチを回避できる

自社の内情を裏表なく発信することで、どのような人材を求めているか、どのようなスキルが足りていないかを具体的に伝えられるのもメリットの一つです。求める人材を一言で表すことは難しいですが、日々のコンテンツ発信を通じて自社のキャラクターやニーズを伝え、ミスマッチを回避できます。

企業のブランディングにつながる

日常的な情報発信は、ネット上で自社の存在をアピールする機会にもつながるため、採用活動がそのままブランディングにつながるという利点も挙げられます。

すでにオウンドメディアを運営している場合、少し採用を意識したコンテンツ制作を実施することで、採用オウンドメディアとしてのメリットも期待できるようになります。

採用オウンドメディアの導入事例

株式会社メルカリ

株式会社メルカリ

採用オウンドメディアを運営している例として、最も有名なのはCtoCサービスを展開する株式会社メルカリの採用オウンドメディアです。

「メルカン」の名前で運営されている同メディアは、主に事業についての詳細な情報発信や、採用に関する情報発信を行い、どんなスキルが会社にとって有益なのか、どんな人物と相性が良いのかといったメッセージを伝えています。

公式サイト:株式会社メルカリ

株式会社LIG(リグ)

株式会社LIG(リグ)

Webサイト制作などを手掛ける株式会社LIGの採用オウンドメディアも有名です。

社員全員がWebライターとして活躍し、それぞれの個性が存分に発揮されるコンテンツ発信を行うことで、ブログから会社の雰囲気や社員の人柄が如実に伝わります。

公式サイト:株式会社LIG(リグ)

採用活動におけるメディア活用のポイント

採用活動におけるメディア活用を推進する上では、次の3つのポイントを意識して取り組むことが大切です。

ポイント

・自社の人材ニーズを具体的にしておく
・自社の強みや魅力を明確にしておく
・媒体ごとの強みを理解しておく

自社の人材ニーズを具体的にしておく

まず、採用活動における自社の人材ニーズを明らかにすることが重要です。自社にあった人材を発掘するためには、そもそもどんな人材が必要なのかを自社で理解しておかなければ、どんな層にアピールすれば良いかがわからなくなるためです。

社内で話し合いの場を設け、獲得したい人材の具体的なイメージを固めることから始めましょう。

自社の強みや魅力を明確にしておく

自社の強みや魅力を洗い出しておくことも大切です。自社の魅力が最も伝わる方法や、一番伝えたいことが不明瞭であると、求職者に対して有効なメッセージを発信できないためです。

採用のミスマッチを回避する上でも、自社のアピールポイントの整理を行っておきましょう。

媒体ごとの強みを理解しておく

採用メディアにはさまざまな媒体が存在しますが、それぞれの方法でメリットは大きく異なります。自社で伝えたいことや必要な人材をまとめた上で、どの媒体がそれらの条件に最も適しているのかを検討し、実際に運用するものを選定してください。

がむしゃらにメディアへ広告を出稿しても、広告コストが無駄にかさんでしまったり、思ったような人材を集めることができなくなったりするためです。

まとめ

採用メディアの主な種類や、それぞれのメディアが持つメリットについて解説しました。転職需要の高まりや人材不足が進む中で、各社では独自の求人施策を実施するケースも増えてきています。

それぞれの採用メディアは別個の特徴を持っているため、それぞれの特徴や求人ニーズを活かし、複数のメディアを併用するのも効果的です。まずは自社の人材ニーズやアピールポイントに合わせて最適な求人媒体をピックアップし、最適な方法を編み出しましょう。

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