ATSとは

採用業務で活用する「ATS」の導入を進めている企業が増えてきています。

ATSとは、採用管理を効率的に行うためのシステムのことです。ATSという名前を聞いたことがあっても、実際にどのような機能を有しているのか、どのようなメリットがあるのかをイメージできている人は多くありません。

そこで今回は、ATSの概要や導入するメリット、さまざまな種類のあるATSにおいて自社に合ったATSの選び方などについて解説します。

ATSとは

ATSとは「Applicant Tracking System」の略称で、日本語では採用管理システムと訳されます。ATSには多岐にわたる採用業務を一括で管理できる機能が備わっているため、業務の効率化が期待できます。

ATSでは、採用業務の各工程についての管理はもちろん、新卒採用に特化したものや中途採用に特化したもの、総合的に採用業務を管理できるものなど多種多様なシステムが存在しています。

たとえば、ATSでは次のような項目を管理することが可能です。

管理可能な項目

・求人情報
・求職者情報
・選考情報
・内定者情報

これらをアナログで管理すると、担当者には大きな負担となってしまいますが、ATSを導入することで、負担が大きく軽減されます。

また、ATSによっては、採用に関する情報を管理するだけでなく、データを収集し分析まで行うものや自社の採用ページを作成する機能を有しているものもあります。そのため、自社に合ったATSを導入することで、採用業務に変革をもたらし、優秀な人材確保などにつながります。

ATSが注目されている背景

ATSが注目されている背景には「労働人口の減少」と「テクノロジーの進化」の2つの理由があります。

「労働人口の減少」とは、その文字どおり、労働人口が今後、減少していくことを意味しています。総務省が発表している「平成29年版情報通信白書」によると、少子高齢化が進む日本では、2030年に労働人口が5,561万人まで減少すると予測されています。

2016年の労働人口が6,440万人だったため、約15年で1,000万人近くが減少することになります。そのため、企業側としては、人手不足に陥りやすくなってしまい、優秀な人材を確保して企業を存続させる施策が求められるようになりました。

こうした優秀な人材を確保するために用いられるようになってきたのが、ITツールをはじめとするテクノロジーです。

採用業務は多岐にわたるため、担当者の負担が大きいことに加え、従来のやり方で採用活動をしていてはスピード感を持って人材確保を行うことは不可能です。また、昨今有効求人倍率が上がってきており、売り手市場となってきています。

そのため、優秀な人材を確保するためには、データを用いたスピード感を持った採用活動が求められるようになってきています。

ATSはこうした採用情報に関わるデータ管理はもちろん、データの分析やどのような人材が適しているかなどを導き出すことも可能です。こうした「労働人口の減少」と「テクノロジーの進化」の背景から、ATSの導入を進めている企業が増えてきています。

ATSを導入するメリット

自社にATSを導入するメリットとしては、主に次の5つが挙げられます。

メリット

・採用業務の効率化が可能になる
・採用情報の一元管理ができる
・採用業務の情報共有がスムーズになる
・母集団の形成ができる
・採用に関するデータの活用ができる

・採用業務の効率化が可能になる

・採用情報の一元管理ができる

・採用業務の情報共有がスムーズになる

・母集団の形成ができる

・採用に関するデータの活用ができる

それぞれのメリットについて解説していきましょう。

採用業務の効率化が可能になる

ATSを導入する最大のメリットは、採用業務の効率化が可能になることです。なぜなら、これまで人の手によって、アナログで行われていた業務がデジタル化し、データの抽出などが自動化されるからです。ATSによって必要な情報を瞬時に抜き出せることは、業務効率化に大きく貢献します。

また、ATSでは「今何をするべきか」が瞬時に判断できるようになります。なぜなら、応募者ごとに、採用ステータスなどが簡単に判断できるようになるため、面接の連絡をしなければならないなどが容易に判断できるからです。

加えて、情報はすべてシステム上で管理できるようになるため、ヒューマンエラーなどが起こりにくくなります。情報の更新を忘れた、連絡をし忘れたなどが起きにくくなるため、ミスをしてしまい、業務時間がさらにかかってしまうなどの恐れがありません。

ATSを導入することで、こういった採用業務にかかっていた業務時間を大幅に削減できるため、業務効率化につながります。

採用情報の一元管理ができる

ATSは採用に関わる情報を一元管理することが可能です。たとえば、「応募者情報」などは、複数の求人サイトを活用していた場合、個別に求人サイトにログインをして応募者を確認する必要はなく、ATSですべて一括で確認できます。

また、Excelなどで管理されていた場合、情報の更新はすべて手動で行う必要がありますが、ATSを導入すればすべて自動的に情報が更新されます。つまり、採用業務を行う際は、ATSにログインすることで、すべての情報を過不足なく取得することになります。

こうした採用情報の一元管理ができる点も、ATSの大きなメリットです。

採用業務の情報共有がスムーズになる

採用業務は、人事部が行う企業もあれば、総務部が兼任して行っている企業もあるでしょう。また、応募者の採用活動が進むにつれて、面接のために職制の方とスケジュール調整を行ったり、これまではどんな人物像だったのかを共有したりするなども必要です。

ATSは、多くのシステムでユーザー権限の設定が設けられています。そのため、応募者情報が必要な人だけに、情報共有を行うことが可能です。情報を管理しながら、常に最新の情報をスムーズに共有できるのは、時間的コストもかからないためメリットだといえます。

母集団の形成ができる

優秀な人材を確保するためには、多くの人に応募してもらう必要があります。応募者が多ければ多いほど、優秀な人材を確保できるチャンスは広がるため、応募者の母数は非常に大切な数字になります。

ATSを導入することで、求人サイトとの自動連携や、スマートフォンからの応募に対応ができるように求人票のサイズを最適化するなど、応募しやすい工夫がされています。

加えて、ATSの中には、これまで採用や面接を行った優秀な人材をデータ化することも可能です。優秀な人材を確保したとしても、内定辞退などで入社を断られてしまうケースは少なくありません。

このように人材をデータとして蓄積ができるため、他の人材を採用するなどに活かすことにもつながります。一人の応募者も無駄にしない母集団が形成できることも大きなメリットでしょう。

採用に関するデータの活用ができる

ATSを導入することで、採用に関するさまざまなデータの活用ができます。

たとえば、多くの求人サイトと連携している場合、どの求人サイトからの応募が多いのか、どの求人サイトからの応募者の採用率が高いのかをデータ化できます。このデータを活用すれば、どの求人サイトに力を入れて募集をかけると良いかがわかるため、採用業務の効率化に貢献します。

また、前述したように、応募者の情報もデータ化ができるため、属人的な採用ではなく客観的な採用につながります。そのため、入社後のミスマッチなどの確率も下げることが可能です。

こうしたさまざまな採用データを活用できることも、ATSの大きなメリットです。

自社に合ったATSの選び方

ATSは闇雲に選ぶのではなく、自社に適したシステムを選ぶことが大切です。自社に合ったATSを導入するためには、次の点に注意することが求められます。

自社に合ったATSの選び方

・自社の規模感や目的に合っているか
・自社の運用体系に合っているか
・操作性や機能性が高いか
・自社が利用している他サービスとの連携が可能か
・セキュリティ対策が整っているか

それぞれのポイントについて解説していきましょう。

自社の規模感や目的に合っているか

ATSは、中小企業向けのものもあれば、大企業向けのものもあります。そのため、どの規模に適したシステムなのかをきちんと確認することが大切です。

また、年間の採用者が少人数の企業の場合、ATSを導入することでコスト高になってしまう可能性もあります。自社の企業規模とATSが適しているかを確認することが必要です。

そして、自社がどのような目的で導入するのかも大切です。新卒採用を強化したいという目的であれば、新卒採用に特化したATSが良いかもしれません。

他にも、無料で利用できるATSで十分な場合もあります。必ず目的を先に立て、どのATSであれば合うのかを考えるようにしましょう。

自社の運用体系に合っているか

ATSはオンプレミス型で提供されているものもあれば、クラウド型で提供しているものもあります。すでに自社のシステムをクラウド型で運用している場合などは、クラウド型のATSを導入すると利便性はさらに増していくでしょう。運用体系に適しているかを確認して選択をすることが大切です。

操作性や機能性が高いか

ATSを導入しても、操作性や機能性が低ければ業務効率化につながりません。また、自社に合っていない機能などがある場合、利用することなく存在するため、コストが割高になってしまう可能性もあります。

ATSを導入する際には、事前に無料トライアルで試したり、ベンダー企業にデモを依頼して操作性や機能性を確認したりすることが大切です。

実際に担当する部署などに短期間導入して、現場の声を聞いてみても良いでしょう。操作性や機能性が高いかどうかで、業務効率は大きく変わります。

自社が利用している採用媒体との連携が可能か

ATSは、求人媒体やタレントマネジメントシステムと多く連携を行うことで、より効果を発揮していきます。そのため、どのようなサービスと候補にしているATSが連携できるかを確認することが大切です。

また、自社で使用している求人媒体と連携ができれば、スムーズな導入にもつながります。自社で活用している採用媒体との連携が可能かどうかをきちんと確認するようにしましょう。

セキュリティ対策が整っているか

採用活動では、多くの個人情報を管理することになります。万が一、情報が流出してしまうと応募者へ迷惑がかかってしまうのはもちろん、自社の社会的損失にも繋がってしまいます。

そのため、ATSにきちんとしたセキュリティ対策が整っているかを確認することが大切です。

たとえば、プライバシー認証の取得やISMS認証の取得がされているかどうかなどです。他にも、ATSの機能として暗号化通信が採用されているか、ログ管理機能があるかなどを見ていくと良いでしょう。

目的別おすすめのATS10選

続いては、目的別におすすめのATSを紹介していきます。主な目的は次の3点です。

目的

・採用業務全般に利用できる
・新卒採用に強い
・アルバイト・派遣採用に強い

上記の目的に沿ってATSを選んでいくと、自社に合ったものを見つけやすくなります。

採用業務全般に利用できるATS

採用業務そのものを効率化していくこと等が目的の場合は、次のATSがおすすめです。

  • HRMOS採用
  • HITO-Linkリクルーティング
  • MOCHICA
  • リクナビHRTech採用管理
  • ジョブカン採用管理

それぞれのATSについて解説していきましょう。

HRMOS採用

HRMOS採用

HRMOS採用は、株式会社ビズリーチが提供しているATSです。新卒、中途のどちらにも対応ができる採用管理システムとして多くの企業で導入実績があります。

また、連携している求人媒体ごとの紹介実績や応募者のレポートなど、多岐に渡りサポートしています。HRMOS採用を導入することで、より効果的な採用戦略を打つことにつながります。

料金プラン:

  • 要問い合わせ

公式サイト

HITO-Linkリクルーティング

HITO Linkリクルーティング

HITO-Linkリクルーティングは、​​パーソルプロセス&テクノロジー株式会社が提供しているATSです。

コンセプトは「煩雑な採用オペレーション業務をとことん自動化し、採用そのものに向き合う時間を生み出す」というもので、豊富な媒体との連携機能やデータ分析などを行うことが可能です。

料金プラン:

  • 50,000円~/月

公式サイト:

MOCHICA

MOCHICA

MOCHICAは、株式会社ネオキャリアが提供しているATSです。

大きな特徴としては、LINEとの連携が可能な点です。そのため、新卒採用の学生などに対しても、LINEで選考日程の調整や結果の通知までが可能です。

加えて、専任の担当者から、運用についての無料サポートを受けることができます。

料金プラン:

  • 25,000円/月(ライトプラン)

公式サイト:

リクナビHRTech採用管理

リクナビHRTech採用管理

リクナビHRTech採用管理は、株式会社リクルートキャリアが提供しているATSです。中途採用の業務に特化しており、導入実績は10,000社以上を誇ります。

応募者情報から選考状況を簡単に可視化できることに加え、無料かつアカウント無制限でも利用ができることが強みです。

料金プラン:

  • 無料

公式サイト:

ジョブカン採用管理

ジョブカン採用管理

ジョブカン採用管理は、株式会社Donutsが提供しているATSです。

勤怠管理や経費精算システムなど、バックオフィスシステムを多く提供しているジョブカンシリーズの一つであるため、すでに業務でジョブカンシリーズを導入しているのであれば、使い勝手は良いでしょう。採用進捗の管理やレポート機能など、採用業務をサポートする機能が十分に備わっています。

料金プラン:

  • 8,500円/月(LITEプラン)

公式サイト:

新卒採用に強いATS

新卒採用に強いATSは主に次のとおりです。

  • i-web
  • e2R PRO
  • 採用一括かんりくん

それぞれのATSを解説していきます。

i-web

i-web

i-webは株式会社ヒューマネージが提供しているATSです。新卒向けの採用に特化しており、新卒シェア向けのATSではシェアNo.1になった実績もあります。

「リクナビ」などの大手求人サイトとのシームレスな連携はもちろん、CMSを活用した採用サイト作成も行えます。

料金プラン:

  • 要問い合わせ

公式サイト:

e2R PRO

e2R PRO

e2R PROは、株式会社ワークス・ジャパンが提供しているATSです。

担当者だけでなく、面接官からリクルーター、応募者の全員にマイページを作ることができ、社内での情報共有がスムーズになる設計になっています。学生向けには合否通知や日程調整を自動で行ってくれる機能などが備わっており、担当者の負担を軽減してくれます。

料金プラン:

  • 要問い合わせ

公式サイト:

採用一括かんりくん

採用一括かんりくんは、HRクラウド株式会社が提供しているATSです。

HRクラウド株式会社は「後期就活ナビ」を運営しており、スムーズな連携が可能です。LINE連携の他、Zoomと連携してのオンライン面談などのへの対応、Slackなどのチャットツールへの連携など自社の運用体制に合わせた活用ができます。

料金プラン:

  • 要問い合わせ

公式サイト:

アルバイト・派遣採用に強いATS

アルバイト・派遣採用に強いATSには、次の2つが挙げられます。

  • RPM
  • ジョブオプ

それぞれのATSを解説していきましょう。

RPM

RPMは株式会社ゼクウが提供しているATSです。アルバイト・派遣採用に強みを持ち、多くの派遣会社への導入実績があります。

採用管理機能に加え、営業の案件管理も行えるため、派遣会社のニーズを満たしたATSとなっています。また、企業ごとのシステムカスタマイズが可能であるため、導入後に自社に合っていないというリスクを減らせます。

料金プラン:

  • 要問い合わせ

公式サイト:

ジョブオプ

ジョブオプは、株式会社リクルートジョブズが提供しているアルバイト向けのATSです。

ホームページの開設から、応募者データの一括管理、選考状況の管理などスムーズなアルバイト採用に貢献します。また、業務形態に合わせてのカスタマイズも可能であるため、多くの業態で導入実績があります。

料金プラン:

  • 要問い合わせ

公式サイト:

まとめ

自社に合ったATSを導入することで、採用業務は劇的に効率化します。今後、労働人口の減少が叫ばれている現代において、テクノロジーを活用した採用活動は基本になっていくと考えられます。自社の規模感や目的、操作感などを確認したうえで、適したATSをぜひ導入してみてください。

当社ディップ株式会社では、バックオフィスの人事労務業務をサポートする「人事労務コボット」を提供しています。

手間がかかる入退社の手続きをスマホで完結できるため、担当者の業務負担を大幅に減らすことに加え、業務のペーパーレス化にも貢献します。ATSを導入すると、採用業務のペーパーレス化も促進されるため、「人事労務コボット」の導入も検討してみてください。

少しでもご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。