営業活動の代表的な施策でテレアポは、通信手段の多様化により以前ほど運用されるケースは少なくなったものの、依然として一定の営業効果が見込めることから、各業界で採用されている手法です。
時代は変わっても、テレアポによる営業活動は対面での営業とは異なるノウハウが必要となるため、なかなか成果を得られずに悩んでいる営業マンは少なくないものです。
今回は、そんなテレアポにおいて少しでも営業効果を改善し、組織への貢献度を高めるためのテクニックや、テレアポの運用効果を最大化する取り組みについて詳しく解説します。
テレアポの役割
テレアポはテレフォンアポインターの略称で、電話を使って見込み客に営業活動を行うことにより、見込み客との関係構築や成約につながるアポイントメント獲得を行う手法です。
対面での営業活動に比べて移動コストが低く、短時間で多くの見込み客と接点を持つことができるため、対面営業と併せて重宝されている営業手法でもあります。
また、近年はオフィスから一歩も出ることなく見込み客へのアプローチがかけられるインサイドセールス手法の一つとしても注目を集めており、Web施策などと併せて運用される機会も増えています。
小さな負担で見込み客とコミュニケーション機会を増やすことのできる手法であるため、使い方によっては中長期的には優れた営業効果をもたらしてくれます。
テレアポに苦手意識を感じる理由
先ほどお伝えしたように、テレアポはうまく活用できれば優れた運用効果を発揮します。一方で、テレアポに対して苦手意識を感じたり、なかなかアポ獲得が進まないと感じたりする人は少なくありません。
テレアポに苦手意識を感じる理由としては、主に次の理由が考えられます。
断られる回数の方が多いから
そもそもテレアポは、回数をこなしてアポ獲得を実現する営業活動ということもあり、どうしても断られる回数の方が多くなります。そのため、まだテレアポ経験が浅い人にとっては失敗の経験がかさんでしまうことに落ち込んでしまい、モチベーションを維持することが難しくなることも珍しくありません。
もちろん、習熟度に応じてテレアポの成功確率はある程度高められるものですが、冷たい態度で断られることに慣れないうちは苦手意識を抱えてしまいがちです。
架電先と上手くコミュニケーションが取れないから
電話での営業活動に慣れていない人は、架電先とのコミュニケーションがうまく続かず、アポ獲得につながらないというケースもあるものです。
対面営業であれば空気や相手の反応をうかがいながら上手なキャッチボールができても、電話となると相手の顔が見えないため、うまく要件を伝えたり、興味を惹きつけたりすることができないことがあります。
また、会話をある程度続けることはできても、肝心のアポ獲得がなかなか進まずノルマが達成できないと悩む方もいるものです。テレアポはプライベートの電話とは異なり、アポイントメントを獲得するという目的のために実施している施策であるため、冗長な会話を続けているだけでは意味がありません。
架電リストにはまだ見込み客の名前が残されているのにも関わらず、長電話を続けていると時間内に電話をかけ終えることもできず成果も得られないため、徒労感を強めてしまう原因となります。
単純作業で飽きてしまうから
ある程度テレアポに慣れてくると、電話を使った営業活動そのものがルーティン化し、対面の営業活動のような刺激が得られなくなる問題も抱えています。対面でのコミュニケーションであれば自分の営業スキルを存分に試せるものの、電話越しだと刺激が足りず、成果を達成しようという気持ちが湧いて来ないこともあります。
相手の顔が見えないことで、コミュニケーションに対して関心が持てなくなると、アポ獲得につながるような営業活動もままならなくなるため、早急な改善が必要です。
テレアポの基本的な流れ
続いては、テレアポを実施する際の基本的な流れについて確認しましょう。以下のプロセスを頭に入れておくことで、自分がどのような工程に課題を抱えていたり、苦手意識を持っていたりするのかがわかります。
- 挨拶と自己紹介
- 用件の説明
- 質疑応答
- アポ獲得
挨拶と自己紹介
電話をかけた相手が応答してくれた場合、まず大切なことが挨拶と自己紹介です。
架電相手からすれば、電話をかけてきた相手は身元不明の人物であるため、警戒感を解かなければなりません。自分の所属組織と名前といった基本情報を伝え、簡潔に情報開示を行いましょう。
用件の説明
手短に挨拶を済ませたら、早速どんな用件で電話をかけてきたのか説明します。この際、「商品を買って欲しい」といった直球の要件を伝えてしまうと不信感を与えてしまうため、資料請求や後日のプレゼンといったアポの獲得につながる簡単な用件を伝えると良いでしょう。
「セミナーが開催されるから来て欲しい」「アンケートへの回答でプレゼントが当たるから答えて欲しい」など、興味を持ってもらえそうな施策を用意しておきましょう。
質疑応答
電話越しで直接アンケートや困っていることなどの質問を行う場合は、「少しお時間よろしいでしょうか?」といった断りを入れてから、問題なければ行うようにしましょう。
また、架電を通して興味を持ってもらえた際には、相手から質問されることもありますが、これらにも対処できるよう、よくある質問や詳細の説明が必要な部分についてはあらかじめ頭に入れておくことも大切です。
正確な質疑応答を行うことができれば、自分や自社に信頼感を抱いてもらうことができます。
アポ獲得
自社や自社商品に興味を持ってもらうことができれば、アポの獲得に近づきます。最後のひと押しにつながるキャンペーン情報や有益情報を伝え、もう一歩架電相手に踏み込めるよう工夫してみることが大切です。
効果を高めるテレアポのコツ・テクニック
上記のテレアポの実施プロセスを踏まえ、テレアポの効果をさらに高めるためのコツやテクニックを紹介しましょう。
「断られるのが当たり前」と考える
まず心がけておきたいスタンスとして、テレアポは断られるのが当たり前という心持ちです。
前述のように、テレアポ業務は架電回数に対してアポ獲得の割合は低く、基本的には好意的な返事を得られない営業活動です。そのため、架電相手に対して過度な期待や失望をしてしまわないよう、「前向きな返事を得られなければ次にいこう」という気持ちで、アポが得られるまで気長に取り組んでみる姿勢が大切です。
ハキハキと健康的なコミュニケーションを心がける
テレアポは回数をこなすことが大切とはいえ、流れ作業で漠然と電話をかけているだけではアポ獲得につながるような返事は得られません。
電話越しではあるものの、話し相手はわざわざ時間を割いて電話に出てくれているため、それなりの誠意を持って用件を伝えることが大切です。
滑舌良くハキハキとわかりやすい声量で用件を伝えることは営業の基本とはいえ、ボディランゲージが使えない電話越しであればなおさら重要性が高くなります。
そのため、常に元気なコミュニケーションを念頭に置くことは大切です。
簡潔な説明を心がける
テレアポは、架電相手に時間をわざわざ割いてもらってコミュニケーションを取る手法であるため、こちら側に非があることは明白です。必要以上の時間をかけさせないための心がけは重要で、できる限り簡潔な説明で相手に煩わしい思いをさせないことが重要です。
説明が冗長になると、相手の時間をいたずらに奪ってしまうだけでなく、話にまとまりがなく、わかりにくくなるといった問題を生んでしまいます。相手に関心を持ってもらうためにも、できるだけメッセージをわかりやすく伝える工夫が求められます。
架電の時間帯を見直す
テレアポによってアポ獲得ができるかどうかは、架電の時間帯によっても大きく左右されます。見込み客の忙しい時間帯や暇な時間帯というのは業界や各事業者によって異なるため、ある程度の事前調査でこの点を調べておく必要があります。
たとえば、11時から13時のランチタイムに、飲食店に対して勤怠管理システムの売り込みをかけるのは、時間を割いてもらえる可能性が限りなく低いため適切とはいえません。
一方で、15時から17時といったディナータイム前の時間帯であれば、接客業務が発生しないため、飲食店でもある程度時間を取ってもらうことができます。見込み客の特性を見極め、最適な架電の時間帯を探し出しましょう。
露骨なセールスは控える
テレアポはアポ獲得が目的とはいえ、あまりに直接的なセールスは相手に商品を押し売られているような感覚を与えてしまうため、おすすめはできません。
簡潔にメッセージを伝えようとすると、ついつい直接的な表現となってしまいますが、「今すぐ資料請求してください」ではなく「こういった困り事はありませんか?」など、見込み客に問題提起を行い、商品の必要性を感じてもらうようなアプローチが大切です。
会話を終えづらい話し方や質問を意識する
アポ獲得をテレアポで実現するためには、会話が簡単に終わってしまうような質問を極力回避する取り組みが大切です。
たとえば、「来週の月曜日はお時間ありますか?」という聞き方の場合、相手が「ない」と答えてしまうと、時間のある日を探し当てるまで同じ質問を繰り返すこととなり、冗長な印象を与えてしまいます。
一方で、「来週でご都合の良い時間帯はありますか?」という聞き方の場合、相手にとって都合の良い時間を教えてもらえるだけでなく、「No」という返事が返ってきづらくなるため、アポ獲得を円滑に進められます。
相手の回答を先読みしながら、有効な質問をあらかじめ考えておきましょう。
テレアポを効果的に実施するためのポイント
テレアポの効果を最大限に高めるためには、オペレーターのテクニックだけでなく、テレアポ環境を抜本的に見直すことで大きな改善効果を期待できます。
架電先リストをあらかじめ用意しておく
まず大切なことは、見込み客となる架電先を一覧にした架電先リストを丁寧に作っておくことです。
見込み客というのは、ある程度自社商品に対して購買の見込みがある、あるいは潜在ニーズを抱えている人や組織を指します。ただの連絡先の羅列ではなく、「果たしてここは購入の見込みがあるのか?」ということを分析しながら、リスト作成を行っておきましょう。
丁寧な架電先リストを用意することでアポ獲得の確率を高め、業務の効率化やオペレーターのモチベーション向上につながります。
トークスクリプトを丁寧に作りこむ
トークスクリプトはいわゆるテレアポ時の台本です。一口に「見込み客」とはいっても、実際には十人十色であるため、彼らの状況や必要に応じて最適な台本を用意しなければなりません。
トークスクリプトが最適化されていないと、必要としている情報を提供したり、適切なセールスを展開したりすることができず、アポ獲得を逃してしまうことがあります。事前の見込み客情報やリアルタイムでの対応状況を見極めながら、適切なスクリプトを用意できるよう多様なパターンを用意しておきましょう。
営業支援ツール(SFA)を活用する
営業支援ツールは、テレアポ営業時の見込み客リストを一覧にして担当者同士で共有管理したり、進捗管理をクラウド上で行ったりできるサービスです。テレアポ時にあると便利な見込み客の詳細情報や、見込み客の関心度をスコアにして、優先的に架電すべき見込み客を発掘するサポートを受けられます。
テレアポだけでなく、通常の対面営業やその他インサイドセールスにも活躍するため、導入して損はないサービスといえます。
まとめ
テレアポは古典的な営業手法でありながら、今日でも新規顧客の獲得手法として高い効果が期待されている手法です。一方で、電話での営業に対して苦手意識を持ったり、今ひとつ成果が上がらないことでテレアポの効果に疑問を持つ声も少なくなかったりします。
ただ、テレアポでしか通用しない営業手法が実際には存在するため、応対の仕方やトークスクリプトの作り方を正しく理解することで、効果を改善することは可能です。既存のテレアポ営業のあり方を見直し、課題点の洗い出しと改善に努めましょう。
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