名寄せの方法

「名寄せってよく聞くけどなにをしたらいいんだろう?」「名寄せの作業をもっと効率化させたい」「名寄せをするには何を準備すべきなのか」このようにお悩みでしょうか?

名寄せは、企業にとって非常に重要な作業です。しかし、名寄せを人の手でやっていると工数も時間もかかり、本来の業務に時間をかけられないというデメリットもあります。

今回は、名寄せが必要な理由や名寄せのプロセスについて解説します。名寄せをする際に活用すると良いExcel(エクセル)の関数や効率化するためのポイントについても紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

名寄せの意味とは

名寄せとは、複数に分散されているデータベースから同一企業や同一人物、同一世帯に対して統一したIDを付与するなどして、データを統合し管理をすること、もしくはその作業のことをいいます。データ統合は、氏名や住所、電話番号やメールアドレスなどの情報を手がかりに行います。

名寄せはリストを定期的にメンテナンスすることが目的です。情報をブラッシュアップしながら管理をすることで、データの重複によるトラブルやミスを防ぎます。

名寄せが必要な理由

名寄せの作業はなぜ必要なのでしょうか?名寄せをすべき理由としては次の2つがあります。それぞれを詳しく解説します。

名寄せが必要な理由

・業務効率の改善により効率的な営業ができるから
・顧客に対してのミスを防止できるから

業務効率の改善により効率的な営業ができるから

名寄せを行う理由は、業務効率の改善によって効率的な営業ができるようになるからです。

社内で共通で使用しているリストの多くは、複数の担当者が入力作業を行っています。複数の担当者がそれぞれ情報を入力していると、それぞれのルールややり方に沿って入力がされてしまい、表記ゆれが生じてしまう可能性があります。

表記ゆれとは、同音や同義の語句がそれぞれ異なる文字表記となっていることです。たとえば、「コンピューター」と「コンピュータ」、「振り込み作業」と「振込作業」などが挙げられます。

表記ゆれがあると、別の情報として取り扱われてしまうため、欲しい情報をすぐに探すことができなかったり、特定するのに時間がかかってしまったりします。

それらを名寄せで統一して情報を集約すれば、データベースをより有効に活用することができますよね。

整理された情報に基づいて適切なアプローチができるようになるため、結果的に効果的なマーケティング活動につながります。こまめにステータスを管理・精査しておくことで、顧客との信頼関係の構築や売り上げ効率をあげることもできますよ。

顧客に対してのミスを防止できるから

名寄せが必要な2つ目の理由は、顧客に対してのミスを防止することができるからです。

蓄積され続けるデータを定期的に整理しないと、不備のあるデータがそのまま保存されていったり、重複しているデータをそのままにしてしまったりします。

たとえば、顧客リストにデータの重複があった場合、次のようなミスやトラブルが発生しかねません。

考えられるミスやトラブル

・同じ顧客に同様のダイレクトメールを送ってしまう
・営業担当Aがアポイントを取得したが、別の日に営業担当のBが同じようにアポイントメントを取得するための営業電話をかけてしまう
・既に自社のサービスや製品を使っていない人に対して「いつもご利用いただきありがとうございます」といった内容の連絡をしてしまう

もしご自身が顧客だったら、この企業に対してのイメージや印象は悪くなりますよね。営業活動において、相手先へ失礼になる行為や会社のイメージダウンにつながる行為は避けたいものです。

このようなことを防ぐために、顧客のリストは常に最新にしておく必要があります。誰でも事由に入力できるリストは使い勝手が良く便利な反面、このようなリスクが潜んでいます。

ルールを統一したり、データ登録者に確認させるようにしたりしても、全員が正しいルールのもとで入力をするというのは難しいでしょう。企業の信用問題にも関わるため、顧客のリストは常に最新かつ正確なものにしておくことがベストです。そのために、名寄せという作業は非常に重要です。

名寄せをする際に必要なプロセス

名寄せを行うには、適切なプロセスで作業を進めることが大切です。ここでは、名寄せをする際に必要な手順について解説します。

対象のデータを調査と選別、ゴールの設定

まず名寄せをする前に、名寄せしたいデータの属性とそれらの入力状況を調査して、現状を把握することが必要です。自社のデータがどのように登録されているかを確認します。

それらの入力状況から方針を定め、どのような方向性でデータをまとめていくのかというゴールを設定します。この方向性によって、この後のデータの抽出作業で行うべき作業が異なるため、目的と現状の把握は必ず行いましょう。

必要なデータの抽出

次に、名寄せの対象となるデータベースから実際にデータを抽出していきます。複数のデータベースに情報が管理されている場合には、一つにまとめる必要があります。

まずは、情報を特定するために、必要となるデータの項目を洗い出します。ここで、入力書式やフォーマットを統一することも大切です。

たとえば、Aのデータベースでは会社名、Bのデータベースでは企業名で管理しているようであれば、同じ情報を別名で管理しているということになりますので、項目を会社名で統一するのか、企業名で統一するのかを決めていきます。

データクレンジング(データクリーニング)

次に、データクレンジングという作業を行います。データクレンジングは、データクリーニングとも呼ばれています。

ここでは、抽出したデータの重複や表記ゆれなどを統一して桁数や入力形式を統一し、

データの質を向上させていきます。

よくあるのが全角文字と半角文字が統一されずに入力されていたり、空白と句読点などが人によって使用されていたりしなかったりします。その他にも、「山崎」と「山﨑」で単純に表記に誤りがある場合もあります。

データクレンジング前とデータクレンジング後の例は下記のとおりです。

<データクレンジング前>

氏名会社名電話番号
佐藤 あきら(株)ABC03ー1111ー2222
山崎美里株式会社DEFG0399998888
中田雄一郎株式会社エービーシー0311112222

<データクレンジング後>

氏名会社名電話番号
佐藤あきら株式会社ABC03-1111-2222
山﨑美里株式会社DEFG03-9999-8888
中田雄一郎株式会社ABC03-1111-2222

データクレンジング前とクレンジングを見比べてみるとどうでしょうか?

  • 苗字の名前の間のスペースが統一されている
  • 株式会社の表記が統一されている
  • 電話番号が半角で統一されている
  • ハイフンは半角で統一されている

データの書式が統一されたことで見やすくなっていますよね。

日本語はひらがなやカタカナ、漢字やアルファベットなどたくさんの文字を使用するため表記ゆれが起こりやすいです。そのため、このデータクレンジングという工程が、一番工数がかかります。

データマッチング

データのクレンジングが終わったら、最後はデータマッチングです。同一種類、同一人物と識別された情報に同一のIDやキーを付与し、それぞれの情報を掛け合わせて統合させていきます。

ここで同じデータが複数あれば、重複しているものを削除して不具合が生じないようにします。複数の同じ情報がある場合は最新のものに統一すると良いでしょう。

名寄せをする際にはExcel(エクセル)の関数を活用しよう

Microsoft office excel spreadsheet

名寄せを行う際には、Excel(エクセル)の関数を活用するのがおすすめです。

近年、顧客を管理するためのツール「CRM(Customer Relationship Management)」や営業を管理するためのツール「SFA(Seles Force Automation)」などのシステムを活用する企業が増えてきました。そのため、これらのツールへデータを投入する前処理としてExcelを使っている企業も多いため、Excelでの名寄せ作業を行っている企業が多くいます。

Excelでの名寄せは、関数の使用法がWeb上に情報として散らばっているため、作業がしやすいというメリットがあります。また、Excelは多くの企業で導入されているため、新しくコストをかけず名寄せ作業ができるのもメリットといえます。

ここでは、名寄せのデータの抽出やクレンジングの際に活躍するExcelの関数について解説します。

データの抽出・マッチングの際に使える関数

名寄せの対象となるデータベースから実際にデータを抽出する作業やマッチングの際に活用できる関数を紹介します。

VLOOKUP関数

VLOOKUP関数は、名寄せの作業において最も活躍する関数です。表を縦方向に検索し、対応する値を取り出します。

複数のExcelのシートから一つのシートにまとめるときに非常に便利です。入力方法は次のとおりです。

  • =VLOOKUP(検索値,範囲,列番号,検索の型)

HLOOKUP関数

HLOOKUP関数の基本的な使い方はVLOOKUP関数と同じです。VLOOKUP関数が縦方向に検索するのに対して、HLOOKUP関数は横方向に検索をします。

入力方法は次のとおりです。

  • =HLOOKUP(検索値,範囲,行番号,検索の型)

データクレンジングに使える関数

次にデータクレンジングの際に活用できる関数について紹介します。

ASC関数・JIS関数

ASC関数は、全角文字を半角にする際に使用する関数です。対して、JIS関数は半角文字を全角文字にする関数です。これらを活用することで表記の統一を一括で行うことができます。

TRIM関数

TRIM関数は、不要なスペースを削除する際に使用します。氏名などのデータを扱う時に便利な関数です。文字列にあるスペースを1つだけ残して、あとはすべて削除してくれます。次のように入力します。

  • =TRIM(指定するセル)

<例>

修正前TRIM関数で修正後
佐藤 あきら佐藤 あきら
 山崎美里山崎 美里
中田 雄一郎  中田 雄一郎

CLEAN関数

CLEAN関数は、不要な改行を削除する際に使用します。自由記入欄や備考欄などのデータを扱う際に便利な関数です。次のように入力します。

  • =CLEAN(指定するセル)

<例>

修正前CLEAN関数で修正後
山田様はもっと多くの人に自社製品を広めたいと思っている。
しかし広めるためにどのターゲットに対してやればいいかわかっていない様子。ターゲットの選定を手伝ってあげたらとても喜んでいた。
ターゲット選定の他にも、問い合わせ対応やメールの配信、 アプリケーションの開発に困っていた。
山田様はもっと多くの人に自社製品を広めたいと思っている。しかし広めるためにどのターゲットに対してやればいいかわかっていない様子。ターゲットの選定を手伝ってあげたらとても喜んでいた。ターゲット選定の他にも、問い合わせ対応やメールの配信、アプリケーションの開発に困っていた。

名寄せをより効率的に行うにはツールの活用もおすすめ

名寄せは事前のミスやトラブルを防止し、顧客対応を向上させるために非常に大切な作業です。

しかし、名寄せの作業のための時間が確保できない、Excelの数式や機能が使いこなせないという人も中にはいるでしょう。また、精度の高い名寄せを行うのは容易ではなく、Excelでの名寄せ作業にも限度があります。

そのため、名寄せ作業にはツールを活用するのがおすすめです。ツールを活用することで、次のようなメリットがあります。

メリット

・作業時間を短縮することができる
・作業するスタッフのコストを削減できる
・精度の高いデータ整備が可能になる
・サポート体制が充実しているので困った際には相談できる

当社ディップ株式会社が提供する「セールスパック」を活用すれば、最新の13媒体の情報から営業リストを作成することができます。キーワード検索や同業他社を省くなどの検索条件を用いて、効率よくリストの作成が可能です。

セールスパック

その都度名寄せ作業をする必要がないため、業務量の削減をすることができます。

まとめ

名寄せが必要な理由や名寄せのプロセスについて解説しました。名寄せをする際に活用するときに活躍するExcelの関数や効率化するための方法について紹介しました。

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これらは、複数の求人情報や応募者を一元管理できるクラウドサービスです。求人原稿の掲載や、停止、内容の修正や時給変更など一括で管理ができるので、複数のリストをまたぐ必要がなくなります。

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