リファラル営業

人材派遣の営業職は、既存の企業やスタッフのフォローだけではなく、新規の顧客獲得も重要なミッションです。今回は、人材派遣のリファラル営業について成功のポイントを解説していきます。

「日々テレアポや飛び込み営業などをしているもののなかなか成果につながらない」と悩んでいる営業職の方や、「もっと効率良くアポイントや契約が取れないかな」と考える営業組織の方にぜひ読んでいただきたい内容をお伝えします。

リファラル営業を意識して行っていくことで、営業成績が一気に作りやすくなります。最後まで読んで毎日の営業活動にぜひ活かしてみてください。

人材派遣業のリファラル営業とは

リファラルとは、「委託・紹介」という意味で、リファラル営業とは「紹介営業」という意味合いです。既存の顧客から知り合いの企業を紹介してもらい、自身の見込み客とする営業手法の一つです。

人材派遣業では、派遣先の企業から「人が足りないことに悩んでいる企業がある」と紹介してもらうことを指します。テレアポや飛び込み営業で新規営業を行うよりも労力をかけずに営業活動を行うことが可能です。

人材派遣業のリファラル営業のメリット

リファラル営業にはどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、リファラル営業のメリットを4つ解説していきます。

リファラル営業のメリット

・顧客から一定量の信頼を獲得している
・売り上げが作りやすくなる
・営業効率が上がる
・営業エリアを広げやすくなる

顧客から一定量の信頼を獲得している

1つ目の魅力は、営業担当と顧客が初めて接点を持つ時点で、すでに顧客から一定量の信頼を得ているという点です。

元々知り合いから紹介されていることもあり、「良い会社を紹介してくれているのだろう」という思考が働きます。派遣会社や営業担当のことを知らなくてもプラスの印象を持ってもらえる点は、その後の営業活動に非常に有利に働きます。

売り上げが作りやすくなる

2つ目の魅力は、リファラル営業で紹介された顧客は、契約率が上がるという点です。

見込み客は元々ニーズがあり、現状に不満があることは明確であるため、丁寧にヒアリングして不満の解消に努めましょう。派遣サービスなので良い人材を連れて来られるかは営業の手腕によりますが、契約自体はスムーズに進めやすくなります。

取引先に紹介してもらえる機会が増えれば増えた分だけ、業績アップにつながっていきます。

営業効率が上がる

3つ目の魅力は業績アップに加え、営業効率も一気に上がる点です。

リファラル営業では、「営業リストの作成」「テレアポもしくは飛び込み営業などのアプローチ」「アポイントの打診」をすべて省略することができます。アポイントをいつにするか、確認し合うところから始めることができるため、営業活動のもっとも大変な探客をしなくて済みます。

新規営業において精神的なストレスがかかりやすいのは、アプローチの際に断られたり、冷たくされたりして成果につながらない点です。リファラル営業で断られることは少ないため、時間を創出しながら精神状態も安定させやすくなります。

営業効率が上がることで、商談の準備に時間を割けるようになったり、派遣スタッフの面談などに力をかけたりすることができるものです。結果的に、顧客や派遣スタッフの満足度が上がり、信頼を獲得できるといった良いサイクルにつながっていきます。

営業エリアを広げやすくなる

4つ目の魅力は、リファラル営業はこちらからアプローチをかけているわけではないため、顧客から担当エリア外の知り合いを紹介されるケースもある点です。

通常の営業活動では営業エリアを絞って密度の高い接触を目指すことが多いですが、紹介されている場合は遠方のエリアであっても接触することが可能です。リスクが少ない状態で営業活動の範囲を広げることができるため、人的リソースが少ない派遣会社であっても競合他社のエリアに入り込みやすくなります。

紹介先の顧客との仕事を通して別の仕事のチャンスを獲得できる可能性もあります。新しい実績を積み重ねていける点もリファラル営業の強みの一つといえるでしょう。

人材派遣業のリファラル営業のデメリット・難しい点

メリットが多いリファラル営業ですが、難しく感じる点もあります。次の4点をあらかじめ把握しておくと良いでしょう。

リファラル営業のデメリット

・人脈を作る必要がある
・アポイントの質をコントロールできない
・紹介元の企業に気を遣う
・リファラル営業だけに頼らない

人脈を作る必要がある

人材派遣業のリファラル営業で定期的に紹介を受けるためには、人脈の形成が重要です。異業種を含め、知り合いが多くいることは有利に働きます。そのため、まったく営業経験のない新人にはハードルが高くなります。

自然に紹介が集まる営業は、これまでの仕事ぶりが評価されている結果でもあるため、人脈を作るまでには時間と経験を要するのです。「あの人の仕事は良いらしい」といった噂が広がるまでには、満足度の高い派遣サービスを多くの顧客に届け続ける必要があります。

アポイントの質をコントロールできない

紹介で獲得したアポイントは、必ずしも良質とはいえない場合があります。「少し興味があって話を聞くだけ聞きたい」というケースや、「紹介してもらったからとりあえずアポイントを取った」というケースなど、契約にそこまで前向きではない可能性があるということです。

その場合、効率が逆に下がってしまうため、アポイントを決める電話で状況確認の簡単なヒアリングを挟むと良いでしょう。状況によっては資料郵送に留めたり、メールでの案内で済ませたりすることも必要です。

紹介元の企業に気を遣う

リファラル営業の場合、紹介元の企業にも配慮しなければなりません。マイナスな仕事をして、紹介元の担当者の顔を潰さないように気をつけましょう。

また、初回のアポイントの後には、お礼のメールや電話を入れ感謝の気持ちをこまめに伝え、契約までつながった場合もこちらから報告することを忘れないでください。「紹介したのに一言も挨拶はないのか」と思われてしまうと、信頼関係が壊れてしまいます。

いつも以上に細かく気を使い、良い人材とマッチングさせるために尽力していきましょう。

リファラル営業だけに頼らない

営業として数字を作るために、リファラル営業だけに頼るのは辞めましょう。自分でコントロールできる部分が少ないため、業績が不安定になってしまいます。

営業担当からアプローチをかける通常の営業活動は、目標に向かって行動数を設定することが多いです。たとえば、「契約1件」に対して「商談3件」「アポイント5件」「有効接触10件」「架電数200件」といった形です。

この場合、架電200件をクリアすれば契約1件を獲得できる計算ですが、リファラル営業の場合このようにコミットする数値が曖昧でわかりにくくなります。そのため、間接的な工夫を重ねて紹介してもらえるのも待つ形です。

メリットの多いリファラル営業ですが、この点が最も難しいといえるでしょう。

人材派遣業のリファラル営業を強化するポイント

人材派遣業においてリファラル営業を強化するためにはポイントがあります。次の3つを意識しながら日々の営業活動に励みましょう。

ポイント

・トークを工夫する
・顧客満足度を上げる
・自社の競合情報に敏感になる

トークを工夫する

1つ目のポイントは、顧客へのトークを工夫することです。紹介はある程度自分から要望しない場合、向こうから自然と舞い込んでくることは少ないです。

そのため、「よろしければお知り合いで求人にお困りの会社を紹介してください」とお願いすることがあるかと思います。このとき、トークを工夫することがポイントです。

「どこか良いところがあれば~」という曖昧な表現ではすぐに紹介をもらうことは難しいです。たとえば、「貴社の取引先に〇〇株式会社というお客様がいらっしゃいますよね。求人をかなり掲載しているようですが、もしお困りのようであればご紹介いただけないでしょうか?」という会社を決め打ちする方法です。

もしくは、「貴社のあるエリアをすべて担当しているのですが、〇〇エリアで求人にお困りの同業種様をご紹介いただけないでしょうか?」とエリアのつながりを確認するのも有効なトークです。

紹介をもらうためには、具体的なトーク内容が重要となります。なぜなら、具体的であればあるほど、該当する会社を思い出しやすくなり、次のアクションを起こしやすくなるためです。

恋愛でも同じことがいえ、「誰か良い人紹介して」といわれるよりも、「〇〇さん紹介して」と直接的にいわれた方がイエス・ノーで答えやすいと思います。社交辞令のように流されないためにも、ある程度紹介先に目星を付けて依頼するようにしましょう。

顧客満足度を上げる

2つ目のポイントは、顧客の満足度を上げることです。

派遣会社として良い人材をニーズに合わせて素早く送り込むことはもちろん、定期的なフォローの連絡や、トラブル発生時の対応などで顧客の満足度は大きく変わります。自分の知り合いに紹介するとなると、おかしな業者を紹介するわけにはいきません。

少子高齢化などで採用難が続く社会であっても、派遣先に寄り添いながら真摯に向き合うことでサービスの価値を上げることが可能です。信頼関係を築くことができれば、「この人のお願いであればぜひ紹介したい」と思ってもらいやすくなります。

顧客に満足してもらえるよう、日頃から丁寧な仕事を意識しましょう。

自社の競合情報に敏感になる

3つ目のポイントは自社にとって競合となる派遣会社の動きに敏感になっておくことです。なぜなら、競合の派遣会社でトラブルなどの動きがあれば自社の案件に人材が流れてくる可能性があるためです。

人を集められることが見込めれば派遣先との契約もスムーズに進めやすく、リファラル営業で紹介された会社へも面談数を増やすことができます。また、競合他社の大口取引先も、リファラル営業という入口であればアプローチをかけやすくなります。

自社と競合他社の違いを洗い出し、不満を解消することができると分かれば紹介も受けやすくなるでしょう。さまざまな観点でアンテナを立てながら営業活動していくことで、リファラル営業を受けるタイミングをつかむことができるのです。

まとめ

派遣会社にとって、手間暇かけて新規営業を行うよりもリファラル営業で顧客を増やしていける方が、メリットはたくさんあります。日頃からどうしたら紹介をもらうことができるか意識してみると良いでしょう。

ただし、前述でもお伝えしたように、簡単に紹介が増えていくことはありません。日々の営業活動がベースにあってこそのリファラル営業です。

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