派遣先と派遣スタッフの面接は、二重雇用のリスクがあるため禁止されていますが、例外が一つあります。それは紹介予定派遣のときです。ゆくゆくは正社員として雇用される可能性もある紹介予定派遣の場合、面接があります。
そこで今回は、紹介予定派遣として働くスタッフや、受け入れている派遣会社向けに、質問内容について解説していきます。面接を受ける際の注意点も併せて紹介していくので、最後まで読んで参考にしてみてください。
紹介派遣の面接とは
紹介予定派遣とは、派遣先企業に直接雇用されることを前提に、まずは派遣スタッフとして勤務するタイプの派遣社員です。最長で6ヶ月勤務してスキルを確認してもらい、直雇用へと切り替えられます。
紹介予定派遣の面接内容は、正社員の面接と大差ありません。能力値を確認して、派遣先が求める人材であると判断されれば合格となります。
通常の派遣は顔合わせですが、紹介予定派遣の場合はきちんと面接で評価されるため、より緊張感をもって臨むことが重要です。派遣先によっては面接と職場見学を同時に行うこともあります。職場の雰囲気を目で見てもらうことでミスマッチを防ぎます。
厚生労働省の調べによると合格率は50%前後です。2人に1人は合格しているため、比較的に受かりやすいといえます。
ただ、雇用された後で「面接の時に話していた内容と違う」と判断されてしまうと直雇用に切り替えられない可能性もあります。正確に能力を伝えられるようにしましょう。
参照元:令和元年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(厚生労働省)
面接時に聞いた方がいいこと10選
紹介予定派遣の面接に合格するために、確認しておいた方がいいことを10点紹介していきます。会話の流れで自然に出てこなかった話題については質疑応答の時間に積極的に聞いていきましょう。
質問1:仕事内容について
1つ目の質問内容は仕事内容についてです。仕事内容はできるだけ詳しく聞きましょう。自分から出来ることについてアピールしていくのも良いです。
- どのようなスキルが必要か
- 資格などは必要か
- 一連の仕事内容はなにか
- 前職で身に付けた〇〇というスキルを活かすことができるか
こうした観点で質問していきましょう。派遣先はスキルの高さをもっとも重視しています。どの程度貢献できるのかお互いがイメージできるまで質問していくようにしましょう。
業務内容について深堀していくと、たとえば、営業職であればどのように目標と向き合ってきたか、数字が伸びない時にどんな工夫をしたかなど、具体的な質問をされやすくなります。
自分が過去に仕事を通して頑張ってきたことや挫折を乗り越えたエピソードはいくつか用意した上で臨むようにしましょう。
質問2:勤務時間について
2つ目の質問は勤務時間です。シフト制の仕事であれば、どの程度出勤できるのか確認しておくと良いでしょう。
また、朝は何時から出社していれば良いか、周りのスタッフはどのような動きをしているかについても一緒に確認してみてください。夜勤や休憩の有無についても念のため聞いておくようにしましょう。
「同業界で勤務していたのですが、夜勤はみなさまどの程度されているのでしょうか?」といった聞き方であれば後ろ向きの印象を与えずに聞くことができます。時間や休みのように条件面の質問は派遣会社に事前に確認しておき、業務内容やスキルについてメインに聞いていくと前向きなアピールにつながります。
質問3:休日について
3つ目の質問は休日についての確認です。ただ、こちらも仕事内容に触れない部分については、あまり細かく質問しすぎるとマイナスな印象をもたれやすくなります。
「たくさん休みたいから」という気持ちを全面に出した質問ではなく、事実ベースの確認をしていく程度に納めましょう。また、家庭の事情などで休みの取り方に希望がある場合は相談しておくと認識のズレをなくすことができます。
「長く働いていくことを踏まえて、将来出産したときの育児休暇などについても念のため確認したいのですが教えていただけますでしょうか?」こういった聞き方であれば、制度の確認に留めることができ、長く働きたいという意思もあわせて伝えることができます。
質問4:残業の有無と内容について
4つ目の質問は、残業についてです。職場によって残業の有無や時間が異なるため、事前に質問しておきましょう。
- 平均の残業時間はどの程度か
- 繁忙期や閑散期はあるか
- どの程度収入に差が生まれるか
上記のような形で確認すると良いです。たとえば、製造業の業種の場合、1日の作業目標数が終われば業務が終了するような案件もあります。残業がどういったシーンで発生するのか聞いておき、自分が残業できるならその点についても前向きに伝えておきましょう。
残業が多いのに居住地が遠方の場合、通勤が大変になることもあります。「残業の量によっては勤務地の近くに引っ越しも検討しているのですが、平均してどの程度あるでしょうか?」といった確認を行っておくと良いでしょう。
質問5:福利厚生について
5つ目の質問は福利厚生の内容についてです。
- 車やバイク通勤はOKか
- 休憩室や個人ロッカーはあるのか
- どのような服装が好ましいのか
- 資格取得支援や研修制度の内容
あまりにも業務に関係ないことを聞くのは控えた方が良いですが、気になるようであれば「業務に直接関係していることではないのですが」と前置きをした上で聞いてみても構いません。
資格取得支援や研修制度の内容についてはスキルアップの意欲を伝える前向きな質問にしやすいです。業務の役に立つ研修や既存スタッフが受講している研修について興味があるものは積極的に聞いていきましょう。
質問6:派遣会社のフォロー体制について
6つ目の質問は、派遣会社への質問です。派遣会社のフォロー体制に不安があるようであれば、きちんと質問しておきましょう。直雇用までの6ヶ月間にも面談を入れたり、定期フォローを入れてもらったりすることで、スムーズな切り替えにつながりやすくなります。
派遣会社によってはこちらの意図しない案件に無理やり紹介したり、気軽に相談できなかったりする雰囲気の会社もあります。そうしたところだと長く働けないので、信頼できる相手なのかは見極める必要があります。
質問7:派遣先の雰囲気について
7つ目の質問は、派遣先の職場の雰囲気についてです。
- 職場の雰囲気はどのような感じか
- わきあいあいとした職場
- ドライでさっぱりした職場
- 親身に教えてくれる先輩がいる職場
- 同性のスタッフは活躍しているか
- 年齢層に偏りはあるか
上記のように、職場の雰囲気はさまざまです。良い悪いではなく、自分と相性が良いかという点が大切ですので質問してみても良いでしょう。
ことばでは伝わりにくい点でもありますので、職場見学として実際の現場を見せてもらっても良いでしょう。
質問8:業務に必要なスキルについて
8つ目の質問は、業務に必要な資格やスキルについてです。派遣先がもっとも重視しているのは業務内容とのスキルマッチですから、自分が案件に対して役に立つことをアピールすることが大切です。
また、働き始めてすぐに必要なくても、ゆくゆく身につけてほしいスキルや、あれば役にたつ資格があれば聞いてみてください。業務にはマニュアルがある場合もあります。自分から学ぶことは大前提ですが業務を教わる環境について整っているかも確認しておくと安心感を得ることができます。
職務経歴書や履歴書に自分の資格やスキルを明記しておくと、先方から質問されることもあります。具体的なスキルのレベルや経験業務などをあらかじめ整理しておき、わかりやすく伝えることを意識しましょう。
質問9:入社までに準備しておくことについて
9つ目の質問は、入社前に準備が必要なことがないかということです。
入社前に勉強が必要なことがある場合もあります。言われなくても、一通り業界に関することやホームページなどで仕事の流れなどを理解しておくことは重要です。
たとえば、事務職であればタイピングの速度アップのための練習をしておいたり、Excel(エクセル)やWord(ワード)の基本ソフトを使いこなせるようになったり、自宅でできることはたくさんあります。
プラスアルファとして、持っていると役に立つ資格や、読んでおくと良い本があれば聞いてみると、意欲の高さをアピールすることもできます。聞いただけで何もしなければ意味はありませんから、入社までにしっかりと準備をしておくことが重要です。
質問10:スタッフの1日の流れについて
10つ目の質問は、業務の1日の流れについてです。入社したら1日をどのように過ごすのか、流れを確認しておきましょう。業務の流れを確認することでよりリアルに仕事に就いてイメージを膨らませることができます。
ただ、1つ注意して欲しいのは、先方が把握していない可能性があることを質問するのは控えることです。本社勤務の人事担当に対して「製造ラインの1日の流れを詳しく教えてほしい」と聞いても詳細までわからない可能性があります。相手の立場や職種を踏まえて質問するとスムーズにコミュニケーションを取ることができます。
派遣の面接時の注意点
・身なりを整える
・時間を守る
・ハキハキと回答する
・前職のことを悪く言わない
・答えなくても良い質問がある
最後に、派遣の面接を受ける上で気をつけてもらいたい点について解説しましょう。
身なりを整える
面接ですから、身なりの印象も大きく左右します。人の第一印象はメラビアンの法則により55%を占めるといわれています。清潔感のある見た目はそれだけで好印象をもたらします。
- 衣服にシワや汚れがないか確認する
- ネクタイが曲がっていないか確認する
- 髪型をまとめておく
- 爪を短く整えておく
- 靴を磨いておく
これらのような細かな点に気をつけるだけでも、印象は大きく変わります。
また、面接へはスーツもしくはオフィスカジュアルを着用しましょう。落ち着いた色合いのものを選び、華美なアイテムは避けてください。
夏と冬でアイテムを変えるのは問題ありません。冬はセーターを重ねたり、夏は薄手のサマージャケットを合わせたりしても良いです。全体的にきっちりとまとめると印象が良くなります。
時間を守る
面接の時間についても必ず守るようにしてください。遅刻はもってのほかです。10分前行動を意識し、何かトラブルがあっても対処できるように余裕を持って行動するようにしましょう。
万が一キャンセルしたいときや、遅刻してしまいそうなときは、かならず事前に電話連絡を入れてください。連絡さえあれば問題なく進められることも多いです。引け目に感じて連絡せずにキャンセルしたり遅刻したりしてしまうと大きくマイナスの印象になるので気をつけてください。
さらに、面接そのものの時間も、求職者主導で伸びないようにしましょう。
「会話が盛り上がっていつのまにか時間が……」ということは問題ないのですが、質問に対して自分ばかり長尺で話してしまうとコミュニケーション能力の不足と判断されてしまいます。質問に対して的確に回答できるよう、事前に考えておくことが重要です。
ハキハキと回答する
面接での会話は、できるだけはきはきと答えてください。同じ内容を伝えるとしてもモゴモゴと話してしまう人と、ハキハキと回答している人ではまったく印象が異なります。
- わからないことはわからないとはっきり伝える
- 考えたいときは少しお時間を下さいと伝える
- 得意なことは堂々とアピールする
こういった点を意識しながら会話を進めていきましょう。もし質問したいことがない場合もはっきり「ありがとうございます。非常に丁寧なご説明でしたので、気になる点は特にありません」と伝えてしまって大丈夫です。
前職のことを悪く言わない
面接では、志望動機や前職を退職した理由について質問されることでしょう。その際に、前職のことを下げるような発言は控えましょう。
「残業が多くて退職した」「職場環境がひどくて」とついつい話したくなる気持ちはわかりますが、自分の評価を下げてしまいます。ポジティブな言い回しに言い換えるようにしましょう。
離職の理由については一貫性のある内容だとより良いです。その際、別の会社でも同じことがいえるような理由は控えて、「ここでなければならない」というポイントを探すようにしましょう。
答えなくても良い質問がある
質問事項の中には、回答しなくても良い内容もあります。
- 配偶者の有無や家族構成
- 本籍や出生地
- 生活環境・家庭環境
- 宗教や個人の好みなどの思想
面接の合否に関係なく、業務上の影響をもたらさない個人情報についての質問は回答しなくても構いません。法律違反になりますので、やんわりと話を変えたり曖昧に濁した回答をしたりしても問題ないでしょう。
まとめ
紹介予定派遣の面接は、正社員の面接とほぼ変わらないこともあり、求職者も緊張すると思います。派遣会社はそうした求職者の心情に寄り添って、双方が納得するようなマッチングをサポートできるようにしましょう。
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