人材営業

その名のとおり、人材営業は「人」を扱う営業のことです。

多くの人が転職エージェントのようなイメージを持っていますが、人材営業が行う仕事は他にもあります。種類によっては業務内容が大きく異なるため、人材営業を目指す際には、きちんとした情報収集を行い、ギャップを埋めていくことが大切です。

今回は、人材業界の概要や実際に人材営業の仕事内容、求められるスキルについて解説します。

人材業界とは

人材業界とは、文字通り「人」を商品として取り扱う業界です。

人材業界の特徴は、業界に属している従業員のほとんどが営業として働いていることです。なぜなら、人材業界の仕事は「人」をどこの企業に紹介するかがメインになるため、商品の開発などが必要ないからです。そのため、メーカーなどが取り扱う商品開発などの職種を設けていない企業がほとんどです。

人材業界の企業は「人材紹介」「人材派遣」「求人広告」の3つに分けることができます。人材業界は「人」を取り扱う仕事であり、人材の紹介から派遣、求人メディアへの広告掲載など、さまざまな業務があります。

人材紹介

「人材紹介」の企業は、従業員を採用したい企業に向けて、自社に登録している人材を紹介することが主な仕事です。

転職を考える際、転職エージェントなどを目にする機会が多くありますが、転職エージェントはこの人材紹介を行う仕事です。求職者の要望やスキルの確認、採用を行いたい企業のニーズなど双方の要望を見極めたうえで、適切な人材を紹介していきます。

人材派遣

「人材派遣」とは、人材の派遣を希望している企業に対して、自社に登録しているスタッフを派遣することが主な仕事です。

「人材紹介」の仕事と似ていますが、主な違いは契約です。人材紹介は人材を紹介し、企業に採用されれば、企業と雇用契約を結びます。

一方で、人材派遣会社から派遣されるスタッフは、あくまでも人材派遣会社に所属しています。つまり、雇用契約は人材派遣会社と派遣スタッフの間で行われるため、給料は人材派遣会社から支払われます。

多くの人材派遣会社は、さまざまなクライアント企業を持っており、ニーズや要望から人材を派遣していきます。

求人広告

「求人広告」とは、採用活動を行っている企業の求人広告を自社のサイトやメディアなどに掲載をする仕事です。紙媒体への掲載はもちろん、昨今ではWebメディアへの掲載が主流になってきています。

求人広告の特徴は、求職者とやり取りはなく、クライアント企業とやり取りを行い、希望の人材を獲得するためにはどのような広告を行うと良いかを考えていくという点です。

人材業界の現状と今後

人材業界は、今後も拡大していく業界であるといえます。コロナ禍から求人数が回復傾向にあったり、一社のみで定年まで働く人が少なくなってきたりしており、セカンドキャリアなどを考えている人が多くなってきているためです。

新型コロナウイルス感染症拡大によって、多くの企業が採用活動を停止しました。そのため、人材市場は急速な落ち込みを見せましたが、現在では多くの求人が戻ってきており、回復傾向にあります。

また、昨今転職に対する心理的ハードルが低くなってきています。リクナビが行った調査によると、「転職・転職活動をしたことがある」と回答した人は6割以上という結果になっています。マイナビが発表した「転職動向調査2022年版」によると、2021年の20〜50代男女の正社員転職率は、過去6年間で最も高い7.0%だったとしています。

つまり、転職が当たり前の時代に突入しており、人材紹介などのニーズは高まっているといえます。今後は労働人口の不足や少子高齢化によって、企業は優秀な人材確保がより必要になってくることが予想されています。そのため、人材業界は、今後も市場を拡大していくことが考えられます。

人材業界の営業の仕事内容

人材業界の営業の仕事内容は、主に次の3つに分類されます。

人材業界の営業の仕事内容

・新規開拓営業
・ルートセールス
・マッチング

それぞれの仕事内容について解説していきましょう。

新規開拓営業

新規開拓営業とは、文字通り自社と取引を行っていないクライアント企業に対して、人材派遣活用の提案やコンサルティングを行い、新規契約を目指すことです。人材紹介会社の営業でも、人材派遣会社の営業でも新規開拓営業を行って、自社の持続的な成長を目指しています。

新規開拓営業を行う際には、自社にはどんな人材が豊富に揃っているのか、クライアント企業のどのような課題を人材紹介や派遣を行うことで解決できるのかなどを提案していきます。

人材営業は、クライアントに対してのアドバイザーの役割もあるため、クライアント企業の成長につながるような人材紹介が求められます。クライアント企業が多ければ、安定した人材紹介につながるため、収益も大きくなっていきます。

ルートセールス

ルートセールスとは、既存顧客に対して新しい人材を提供したり、新たなニーズに応えるような提案を行ったりすることが主な仕事です。

既存顧客に対しては、一定の信頼感があるため、営業がスムーズにいくことが多いです。しかし、顧客の業界のトレンドを押さえた営業をしていなかったり、クライアントからの要望を待っていたりするだけでは、クライアントが離れてしまう可能性もあります。

そのため、クライアントへのヒアリングなどを通し、ニーズを捉え、適切な提案を行うことが求められます。安定した営業はもちろん、実際に人材を派遣している場合は、スタッフのフォローなども大切な業務です。

マッチング

マッチングとは、その名のとおり求職者をクライアント企業に紹介や派遣を行うことです。転職エージェントなどの仕事の多くがこのマッチングです。

マッチングは、単に求職者をクライアント企業に紹介や派遣をすれば良いというわけではなく、求職者の細かな希望はもちろん、クライアント企業の要望についても細かなヒアリングを行い、入社後にミスマッチを起こさないようにすることが重要です。

入社後にミスマッチを起こしてしまうと、トラブルにも発展しやすくなり、求職者、クライアント企業の両者から信頼を失ってしまいます。そのため、適切なニーズの把握とヒアリング能力が求められます。

また、求職者に対しては、クライアント企業がどのような企業か、クライアント企業に対しては紹介を行う人材がどのような人材かを丁寧に設営する言語化能力も必要です。ミスマッチを防ぎ、双方にとって良い結果をもたらすように行うのがマッチングです。

人材業界の営業に求められるスキル

人材の営業マン

人材営業に求められるスキルとしては、主に次の5つが挙げられます。

人材業界の営業に求められるスキル

・コミュニケーション力
・提案力
・ストレス耐性
・法人営業経験
・基本的なITスキル

・コミュニケーション力

・提案力

・ストレス耐性

・法人営業経験

・基本的なITスキル

それぞれのスキルが必要な理由について解説していきましょう。

コミュニケーション力

人材営業に限った話ではありませんが、営業職として活躍していくうえで、コミュニケーション力は非常に重要です。

営業は、とにかく調整業務が多い職種です。クライアントとの調整や求職者との調整、社内向けに調整を行うこともあるでしょう。

このようにさまざまな人を巻き込むため、自身の仕事はもちろん、関わる人と円滑に物事を進めるためには、高いコミュニケーション力が必要になります。

また、コミュニケーション力は対面だけではなく、電話やメールなど顔が見えない場面でも大切です。

特に、昨今オンライン面談などを行うケースが増えてきました。リアルでもオンラインでも、相手の要望を正確に聞き取ってニーズを把握し、的確な提案につなげていくことが求められます。

提案力

人材営業はコンサルタントの立ち位置で、クライアント企業の成長にも貢献する必要があります。

業界のトレンドからクライアント企業の課題を正確に捉え、自社の人材を活用することで、どのような成長や貢献ができるのかを提案しなくてはなりません。そのため、相手に伝わりやすい内容や説得力のある内容が行える「提案力」が求められます。

提案力がなければ、クライアント企業から信頼はされず、最悪の場合は契約を打ち切られてしまう可能性もあります。

また、新規開拓営業を行う場合でも、自社と契約するメリットなどを伝えられなければ契約には至りません。そのため、人材営業にとって提案力は必須のスキルであるといえます。

ストレス耐性

人材営業は、他業種の営業よりもさらに「人」にフォーカスした営業だといえます。なぜなら求職者一人ひとりに寄り添い、ときにはその人の人生を左右するようなサポートを行うからです。

そのため、自身の思い通りに進まなかったり、予期しないアクシデントが起きてしまったりするなど、ストレスがかかる場面も多くあります。

特に、人材派遣会社の営業などは派遣先の企業とスタッフの間に入り、さまざまな調整を行う必要があります。ときには連絡がスムーズにいかず、板挟みのままクレームになってしまうケースもあります。

こうした事態にきちんと対処をしつつ、ストレスを必要以上に溜め込まないストレス耐性が求められます。

法人営業経験

人材業界の営業へ転職などを考えている場合、法人営業の経験があると良いでしょう。なぜなら、人材を紹介したり派遣したりする企業は法人企業であり、求人広告を扱う営業においても、相手は法人企業だからです。

法人企業での営業経験があれば、その企業がどのような課題を抱えているのかなどについて、より深く考えることができるでしょう。

また、人材業界の営業として売上を上げるためには、法人企業との契約が不可欠です。人材営業として、より成果を上げるのに、法人営業の経験は非常に役立つのです。

基本的なITスキル

昨今、データを活用して営業活動を行うことは珍しくありません。

CRMやSFAなどを導入して、営業活動に役立てている企業は多くあります。こういったツールを活用することで、自身の営業活動が効率化し、目標達成にも近づくことが可能です。

しかし、こういったツールを使いこなすためには、基本的なITスキルが必要です。単純にパソコンを利用するだけでなく、ツールを活用してデータを分析し、自身の営業戦略に組み込む力が必要です。

人材業界の営業を経験するメリット

人材業界の営業を経験することで、次のようなメリットを得ることが可能です。

人材業界の営業を経験するメリット

・人脈を広げ人の役に立てる
・自身のキャリアアップにもつながる

・人脈を広げ人の役に立てる

・自身のキャリアアップにもつながる

それぞれのメリットについて解説していきましょう。

人脈を広げ人の役に立てる

人材業界の営業職は、その仕事柄多くの業界の人と関わるようになります。

一般企業の営業であれば、業界が絞られてしまうことも少なくありませんが、人材業界は幅広い業界の企業と接点を持つことができるため、人脈を広げることが可能です。そのため、これまでとは全く違う世界を知ることもできるでしょう。

さまざまな業界の人と関わることで広い視点を持てるようになることは、求職者に対して適切なサポートを行うことにつながります。適切なサポートができれば、求職者に対しては紹介先や派遣先の企業で充実した仕事を行えるようになり、企業側に対しては売上の拡大や課題解決などの貢献ができます。

こうした人の役に直接的に関わることができることもメリットの一つだといえます。

自身のキャリアアップにもつながる

人材営業は、自身のキャリアアップにもつながっていきます。なぜなら、多くの業界と関わることができるため、それぞれの業界に対して見識を深めることができるからです。またさまざまな業界の課題について考え、提案活動を行う経験をすることもキャリアアップの際に大きな助けとなります。

そのため、人材営業からのキャリアアップは、自社でのキャリアアップはもちろん、他社へ転職を行う際などのキャリアアップにもつながります。たとえば、他社へ転職し、人材営業の経験を活かして人事として採用業務を行ったり、人材業界以外の営業職へ転職しBtoBとしての営業を行ったりすることが挙げられます。

こうした自身のキャリアアップにつなげることが、人材営業を経験することで可能になります。人材営業として働いていくことはもちろん、その先のことまで考えて行動していくと、より自分の行動に具体性が持てるようになり、自身のキャリアを前向きに進められます。

人材業界の営業を効率的に進めるためには

人材業界の営業として、効率的に仕事を進めていくためには、次の3つの点を意識することが大切です。

人材業界の営業を効果的に進める方法

・質の高い営業リストを用意する
・トークスクリプトを作成する
・仮説・検証を行う

質の高い営業リストを用意する

新規顧客を相手にする場合でも、ルートセールスで既存顧客を相手にする場合でも、質の高い営業リストを用意しておくことが大切です。営業リストを用意しておくことで、顧客の情報を一元管理できるからです。

質の高い営業リストに記載されている内容は、主に次のものです。

営業リストの記載項目

・企業名
・人材紹介契約の有無
・現在の求人募集状況
・職種の採用計画
・採用にかかる予算
・採用に関わる企業課題

上記内容を逐一最新の情報として更新し続ければ、今営業リストに記載している企業にどのようなアプローチが効果的なのかが見えてきます。営業として主観的な根拠だけではなく、データを活用した客観的な根拠を持つことで、効率的な営業活動が可能になります。

トークスクリプトを作成する

トークスクリプトを作成しておくことも大切です。はじめのうちは経験が少ないため、雛形などを活用して進めていくと良いでしょう。

営業としての経験を積み上げていくと、顧客の反応が良かった、顧客の反応が悪かった、などの蓄積が増えていきます。これらの経験は貴重なノウハウとなるため、雛形のトークスクリプトを常にブラッシュアップしていくと良いでしょう。

トークスクリプトを作成することで、同じような失敗を繰り返すことがなくなるため、作成しておくことが大切です。

仮説・検証を行う

質の高い営業活動を行っていくためには、「仮説・検証」を行っていくことが大切です。

「仮説」とは、顧客がどのような課題を抱えているかを考えることです。たとえば、同じ業界で同規模の企業ではこのような課題があったから、同じような課題を抱えているのではないかといった仮説が挙げられます。

こうした課題を持って営業活動を行うことで、軸が一つ定まるので、スムーズに現状をヒアリングなどができます。

なお、仮説は必ず当たらなければならないというわけではありません。間違ったとしていても大きな問題ではなく、顧客の現状や課題をヒアリングしてブラッシュアップしていく手段として活用すれば良いのです。

また、実際の営業活動を行った後は「検証」を行います。仮説の立て方はどうだったか、提案した内容に納得感はあったかなど、次の営業活動に活かすように検証を行っていきます。

こうした「仮説・検証」を日々、繰り返していくことで、質の高い営業活動につながっていきます。

まとめ

人材営業は多くの人と関わることができる仕事です。コミュニケーション力や提案力など必要なものは多いですが、日々の営業活動において仮説と検証を繰り返すことで、より良い営業活動につながっていきます。

人材営業を経験することで、さまざまなキャリアアップにもつながっていくので、興味があるのであれば、飛び込んでみるのも良いでしょう。

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