新規開拓営業は、業界や業種、企業規模に関わらず、どの企業にとっても重要な施策です。当然ですが、派遣会社も例外ではありません。さまざまな分野へ人材を派遣していても、ある業界に特化して人材を派遣していても、新規開拓を行わなければ、競合他社との競争に敗れてしまいます。
しかし、新規開拓営業を行いたいと考えていても、非効率な手法で行ってしまい、自社に適していない手法で行ってしまうなど、失敗してしまうケースも少なくありません。そこで今回は、新規開拓営業の概要やどのような手法があるのか、実際に成功させるコツを解説します。
新規開拓営業とは
新規開拓営業とは、取引を行っている既存顧客ではなく、これまで取引を行っていない新規顧客に対して営業活動を行うことです。
既存顧客への営業活動とは異なり、まったくのゼロから信頼関係を構築し、自社の魅力、商品やサービスの魅力をプレゼンし、共感してもらうことが必要です。そのため、既存顧客の営業活動よりも高度な営業活動ともいわれています。
新規開拓営業の特徴には、幅広い層のターゲット企業にアプローチをかけることが挙げられます。事前に社内でターゲットとした業界や業種、企業規模、どのような商品やサービスでアプローチを行うのか計画を立て、自社に適した手法で営業活動を行っていきます。
新規開拓営業は、闇雲に行っても効果が出るものではなく、明確な営業戦略を立て、常に活動のアップデートを行うことで成果につながっていくものです。
新規開拓営業を行うべき理由
新規開拓営業を行うべき理由は2つあります。一つは「売上の向上と自社の持続的な成長」、もう一つは「リスクヘッジ」です。新規開拓営業を行うことは、「売上の向上、自社の持続的な成長」と「リスクヘッジ」という2つの理由から、どの企業も行うべき施策となっています。
売上の向上と自社の持続的な成長
売上の向上、自社の持続的な成長は、新規開拓営業によって取引先が増えることで、自社の売上が向上することにつながるため必要です。
当然ですが、10社の取引先しかない企業と、100社の取引先がある企業では、売上の金額が異なります。また、契約している顧客が増えれば増えるほど、自社の持続的な成長につながります。
今まで10社しかなかった取引先が20社や30社と増加していけば、売上金額が増えることに加え、事業規模も大きくなっていくことでしょう。また、新規顧客として獲得した企業は、最初は取引金額が小さくても、取引の数を増やし信用が積み重なれば、大きな取引へと発展する可能性もあります。
そのため、新規開拓営業を行うことは、持続的な成長へとつながっていくのです。
リスクヘッジ
新規開拓営業は、リスクヘッジにも大きく貢献します。企業にとってのリスクヘッジとは、自社の業績が低迷したことによる事業の縮小や資金繰りの悪化、最悪の場合、倒産を避けることです。
取引先の数が少ない企業の場合、既存顧客の業績が悪化した場合、取引の中止や契約終了などによって共倒れになってしまう可能性があります。こういった状況を避けるには、少ない既存顧客に依存しない経営環境を構築することが大切です。
つまり、取引先が多ければ多いほど、一定の企業に対する依存度は低くなるため、業績悪化などのリスクヘッジにつながります。
新規営業の手法:アウトバウンド
新規営業手法には、「アウトバウンド」と「インバウンド」の手法があります。まずは、「アウトバウンド」の営業手法について解説していきます。
アウトバウンドの営業手法とは、自社から積極的にターゲットとしている企業に働きかけて、顧客を増やしていく営業手法のことです。具体的には、次の営業手法が挙げられます。
・飛び込み営業
・テレアポ営業
・メール/DM営業
・レター営業
飛び込み営業
飛び込み営業とは、アポイントを取らずにターゲットの企業に訪問してアプローチを試みる営業手法です。
事前に連絡などをせずに訪問するため、担当者に直接会えず、空振りに終わってしまう可能性がある一方で、接触ができた場合は、対面でコミュニケーションが取れるというメリットがあります。
対面で話すことができれば、自社についての説明やターゲット企業の状況をヒアリングするなど、多くの情報を得ることが可能です。また、直接顔を合わせてコミュニケーションを取るため、信頼を得られやすいというメリットがあります。
なお、昨今新型コロナウイルス感染症の影響によって、飛び込み営業が敬遠されているケースは少なくありません。事前に相手企業をきちんと調べるなどして、営業活動を行っても問題ないか確認することが大切です。
テレアポ営業
その名のとおり、テレアポ営業とは電話を利用して行う営業手法のことです。テレアポ営業のメリットは、短期間で多くのターゲットにアプローチができることです。
電話をかけてその場で成約をもらうのではなく、自社の資料送付の承諾をもらったり、訪問のアポイントを取ったりするなど、営業の次のステップにつなげることが主な目的です。
自社のリソースで賄いきれない場合は、アウトソーシングを活用して効率化するなど、多くの企業が営業手法として取り入れています。
メール/DM営業
メール営業やDM営業は、ターゲット企業の記載があるメールアドレス等に、商品やセミナー開催など案内を流す営業手法のことです。
昨今、あらゆる企業がホームページを持っており、代表のメールアドレスが記載されていることがほとんどです。こうした情報を収集し、メールやDMを投げてアプローチをかけていきます。
コストがほとんどかからないことに加え、一斉に多くの企業にアプローチができることがメリットです。また、返信などの反応があった場合には、次のアクションにつなげやすいため、新規営業の初めのアプローチ手法として採用している企業が多いでしょう。
レター営業
レター営業とは、ターゲット企業の担当者宛にレター(手紙)を送付してコンタクトを図る営業手法のことです。担当者の名前や部署がわかっていれば、確実に相手に情報を届けることができる点が大きなメリットです。
また、自筆のレターを書くことで、相手に気持ちが伝わりやすいというメリットがあるため、信頼を得られやすいでしょう。一方で、時間などのコストが多くかかってしまうことが難点です。
新規営業の手法:インバウンド
続いては、「インバウンド」の営業手法について解説していきます。インバウンド営業とは、ターゲットとしている企業側から働きかけてもらう営業手法のことです。
インバウンド営業のメリットは、ターゲット企業からアプローチを受けた段階で、その企業は自社に興味を持っている点です。そのため、アウトバウンド営業と比べて、成約率が高い傾向にあります。
インバウンド営業の手法としては、主に次の手法が挙げられます。
・オウンドメディア運営
・YouTube運営
・SNS運営
・広告運用
・セミナーおよび勉強会の開催
・オンラインセミナーの開催
・展示会・フォーラムへの参加
オウンドメディア運営
オウンドメディアとは、自社で運営しているWebサイトのことです。
テキストや動画コンテンツとして読者に有益な情報を提供することで、ユーザーに興味を持ってもらうことが目的です。オウンドメディアへのアクセスが増えれば、より多くの顧客からアプローチを受けられます。
一方で、オウンドメディアの運営は、SEOの知識やサイト設計などの知識に加え、長期間かけて行う施策のため、即効性に乏しいことが欠点です。
YouTube運営
YouTubeを活用している企業も増えてきています。
YouTubeはGoogleが提供している動画コンテンツを掲載できるプラットフォームです。自社でYouTubeチャンネルを持ち、再生数を増やすことで多くのターゲットに知ってもらえます。
動画コンテンツは、文字だけでは伝えきれない情報を視覚や聴覚に訴えかけて伝えられるメリットがあります。
SNS運営
SNS運営とは、TwitterやInstagram、Facebookなどを活用して、情報発信や商品やサービスの宣伝を行うことで、新規顧客獲得を目指す営業手法です。有益な情報を発信し続けることで、フォロワーが増え、自社のファン獲得となり、新規顧客の獲得につなげていきます。
また、SNSはユーザーの生の声がダイレクトに届くため、自社商品の評価や課題などを把握しやすいという特徴があります。
広告運用
広告運用とは、街中にある看板や電車のつり革広告など、さまざまな広告媒体を活用して新規顧客の獲得を目指す営業手法です。昨今、Webサイトに広告を展開するオンライン広告なども普及しています。
広告運用のメリットは、不特定多数の人の目に付きやすいことや、テキスト広告、画像や動画を活用した広告にするなど、発信方法を選択できることです。そのため、ターゲットとしたい顧客に適した広告運用を容易に行えます。
セミナーおよび勉強会の開催
セミナーや勉強会などを開催することで、内容に興味を持った顧客を獲得する営業手法です。セミナー等に参加した時点で自社や商品、サービスに興味があると考えられるため、その後の営業活動をスムーズに進めやすいことがメリットです。セミナー等では商談はせず、見込み顧客の獲得を目的として行っている企業が多いでしょう。
オンラインセミナーの開催
新型コロナウイルスの影響によって、オンラインセミナーを開催する企業が増えてきています。
オンラインセミナーのメリットは、どこからでも参加ができるという点です。そのため、オフラインで行われるセミナーのように地域が限定されることはありません。オンラインセミナーを有効活用できれば、オフラインでのセミナーよりも多くの集客を期待できます。
展示会・フォーラムへの参加
多くの企業が集まって展示会やフォーラムが開催されることがあります。そういった展示会やフォーラムに参加することも、新規顧客の獲得につながります。
展示会やフォーラムへの参加のメリットは、より多くの顧客と直接コミュニケーションが取れる点です。また、名刺交換を行えれば担当者の顔と名前が認識できるため、その後のアプローチにもつなげやすくなります。
新規開拓営業を成功させる7つコツ
続いては、新規開拓営業を成功させるコツを紹介していきましょう。新規開拓営業の参考にしてみてください。
・自社の現状を正確に分析する
・明確な営業戦略の立案する
・ターゲットの選定を行う
・ターゲット毎に適したアプローチを行う
・顧客情報管理を正確に行う
・PDCAサイクルを回す
・ツールを活用する
自社の現状を正確に分析する
まずは、自社の現状を正確に把握します。
自社の市場での立ち位置などの外部環境の分析や、自社の営業リソース、各営業手法を取り入れる場合の費用対効果などを詳細に分析することで、自社の客観的な現状を把握できます。分析には、「SWOT分析」や「3C分析」を取り入れると良いでしょう。
また、既存顧客に対して自社の印象を聞くなどすることで、自社の魅力や商品、サービスの魅力、課題点などを分析することができます。
明確な営業戦略の立案する
自社の正確に把握したら、明確な営業戦略を立案していきます。
自社の市場の立ち位置、選択する営業手法、資金や営業リソースなどを加味して、効率的な方法はどれか、いつまでにどれくらいの顧客を獲得するのかなどを決めていきます。
その際、最終目標である「KGI」の設定や、中間的な目標である「KPI」の設定を行い、中長期的な視点から立案していくと良いでしょう。
ターゲットの選定を行う
新規顧客の獲得は、闇雲に進めるのでは効率が悪くなってしまいます。そのため、ターゲットとなる営業リストを作成するなど、自社のターゲットを絞っていくと良いでしょう。
ターゲットの選定には「STP分析」を行うことで、狙う市場の決定や顧客のニーズの把握などを行うことができます。また、ターゲット企業のペルソナを設定するなど、営業部署で共通認識を保てるような工夫も行うと良いでしょう。
ターゲット毎に適したアプローチを行う
顧客のニーズはさまざまです。そのため、ターゲットリストの企業に対して、機械的にアプローチを行うのではなく、ターゲット毎に課題や関心を持つものは何かを考え、それぞれに適したアプローチを行うことが大切です。
顧客のニーズを知るためにはヒアリングはもちろん、仮説を立てて検証することなども求められます。
顧客情報管理を正確に行う
アプローチをかけた企業に対しての、成果をきちんと把握しておくことが大切です。営業活動は属人的になりやすいため、「いつ・誰が・どのように・何を話し・どんな反応だったのか」を管理することで、営業活動の精度が上がっていきます。
また、顧客情報管理を正確に行うことで、次にターゲットへアプローチを行う際に、どんな内容であれば良いのか分析できます。担当者が変わったとしても、内容が容易に把握できため、属人的な活動を防ぐことも可能です。
PDCAサイクルを回す
実施している新規顧客獲得のための営業手法に対して、常にPDCAサイクルを回すことが大切です。
PDCAサイクルとは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」を確認し、営業活動の精度を上げていく手法のことです。PDCAサイクルを回すことで、活動の現状や課題、改善点、次回以降の施策などを明確にすることが可能です。
ツールの活用をする
昨今、ツールを活用することで、営業活動を効率化していくことができるようになってきています。
たとえば、営業リストの作成はアナログで行うと膨大な工数がかかってしまいます。こうした活動を効率化させるために、ツールを活用することが可能です。
ツールを効果的に活用できれば、営業活動の効率化はさらに加速します。自社が新規営業を行う際に弱い点などを分析し、ツールを活用して補うなどを行っていくと良いでしょう。
まとめ
新規顧客の獲得は現在、そして未来の自社を成長させていくためには避けては通れない道です。新規顧客の獲得は簡単ではありません。
しかし、コツをしっかりと押さえたり、ツールを活用したりすることで、成功率を高めることが可能です。今回お伝えした内容を参考に、自社の新規顧客獲得のための営業活動を行ってみてください。
なお、ディップ株式会社では、新規顧客獲得の営業活動を支援する「HRコボットfor営業リスト」「HRコボットforアポ獲得支援」を提供しています。
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また「HRコボットforアポ獲得支援」は、人材派遣会社の営業に特化したアポ獲得支援サービスです。
作成された営業リストをもとに、専門のスタッフが代行コールを行います。そのため、営業リソースが足りていない場合などに重宝します。
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