新規開拓営業は、どの企業にとっても重要な施策です。しかし、新規開拓営業を行っても有益な結果になっていない企業も少なくありません。
今回は、新規開拓営業が必要な理由や考えるべきこと、実際の手法などについて解説していきます。ぜひ、自社の新規開拓営業の取り組みに取り入れてみてください。
新規開拓営業とは
新規開拓営業とは、その名のとおり企業がこれまで取引のなかった顧客を獲得するために行う営業活動のことです。中小企業から大企業まで、どの業界、どの業種の企業においても非常に重要度が高い営業業務とされています。
既存顧客に対して行う「ルート営業」とは異なり、これまで取引のない新たな顧客をターゲットとすることで、販路拡大や市場拡大などにつながります。
新規開拓営業が必要である理由
新規開拓営業が必要である理由は、「企業の成長」と「リスク回避」が挙げられます。
企業の成長とは、自社の売上増加につながることです。これまで取引のなかった顧客を新規顧客とすることで、営業先が増え、売上を増加させられます。また、新規で獲得した顧客と良好な関係を築いていければ、長期間に渡って売上に貢献するため、企業の成長へとつながります。
リスク回避とは、既存顧客の離脱に対する回避です。これまで良好な関係を築けていたとしても、社会情勢の変化や組織の変化などによって契約が終了してしまう可能性もあります。
一定数の既存顧客がいることで業績の安定につながりますが、既存顧客のみに頼った業績だと、離脱した場合に自社の経営上のリスクとなります。こうしたリスクを回避するためにも、既存顧客への営業だけでなく新規顧客の開拓を行うことで、それぞれの比率のバランスを保つことが大切です。
そのため、新規開拓営業は、自社の成長とリスク回避を実現するために非常に重要な施策であるといえるでしょう。
新規開拓営業で考えるべきこと
新規開拓営業は、既存顧客に対しての営業よりもコストが5倍かかるとされています。コストをかけて成果が得られなければ、無駄な活動になってしまいます。
そのため、新規開拓営業で考えるべきことを認識したうえで、活動していくことが大切です。具体的には、次の3点を考えていきます。それぞれの考え方について解説していきます。
・戦略を練ること
・ターゲットを明確にすること
・既存顧客を分析すること
戦略を練ること
新規開拓営業は、闇雲に行っても成果は得られません。明確な営業戦略を練ることが大切です。
自社の強みはどこにあるか、市場において自社はどの位置にいるのか、自社のリソースをどのように活用していくのかなどについて考え、効率的に新規開拓営業を行っていくことが求められます。
加えて、KGIやKPIを設定するなどして、中長期的な目標を立てることも大切です。なぜなら、新規開拓営業は一度の訪問で成果を出すのではなく、見込み顧客を作っていき、最終的に契約を結ぶことを目指すからです。
また、目標を掲げることで、いつまでにどのようなことを行う必要があるかが見えてきます。さらに、新規開拓営業を実行した後でも、目標値に達成していない場合には、改善して達成するためにはどうすれば良いかの目安になります。そのため、明確な営業戦略を練ることは、新規開拓営業の成功率を大きくアップさせます。
ターゲットの明確にすること
新規開拓営業では、ターゲットを明確にすることも大切です。なぜなら、自社の製品やサービスに適していない企業へ新規開拓営業を行っても、成果にはつながらないからです。
自社が定めたターゲットを狙い撃ちすることで、少ないリソースでも効率的な新規開拓営業を行えます。ターゲットを絞るには「STP分析」を活用するのがおすすめです。
STP分析とは、「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」の頭文字を取ったもので、市場における顧客のニーズを可視化し、市場における他社との差別化が図れる自社の強みを明確にするものです。自社の強みを発揮でき、明確なターゲットを絞り込むことで、効率的に新規開拓営業を行うことができます。
既存顧客を分析すること
既存顧客を分析することも大切です。なぜなら、既存顧客は自社と取引を行う理由を持っているからです。
既存顧客がなぜ顧客になったのか分析できれば、自社の強みなどが客観的にわかり、新規開拓営業に活かすことが可能です。自社のサポート体制に魅力を感じる企業もいれば、商品そのものに魅力を感じる企業、担当営業マンに魅力を感じた企業もあるでしょう。
顧客視点で分析を行うことで、自社が新規開拓営業でアピールすべき点が見えてきます。アピールすべき点がブレなければ、提案方法の工夫などができ、成約率の向上につながっていきます。新規開拓営業を開始する前に既存顧客を訪問し、実際にヒアリングを行うことも効果的です。
新規開拓営業の成功率を上げるステップ
新規開拓営業の成功率を上げるには、次の5つのステップを踏んでいくことが大切です。それぞれのステップで、具体的にどのような行動を取るのかについて解説していきます。
・営業リストを用意する
・ターゲットを分析し課題を把握する
・KPIを設定する
・継続的にアプローチを行う
・PDCAサイクルで分析と改善を行う
営業リストを用意する
まずは、営業リストを用意します。営業リストを用意することで、計画的に営業活動を行える、営業した結果を記入できるなどができるからです。スプレッドシートなど、クラウドサービスを活用できれば、部署での共有もスムーズに行えます。
営業リストの作成は、営業活動が短期で終わらないように枯渇しない量を用意することが大切です。また、エリアや売上高、契約に至る確度など新規開拓営業を行う際に、効果的に訪問できるようにリストを絞り込むような機能も付いていると最適です。
昨今、自社で営業リストを作成する以外にも、外部サービスを活用して営業リストを用意している企業も増えてきています。コストやリソースなどを把握して、自社に合った営業リストを用意できると良いでしょう。
ターゲットを分析し課題を把握する
リストを作成したら、ターゲットの分析に入ります。大切なことは、ターゲットの課題を把握することです。
もちろん、これまで取引のない顧客になるため、課題を完璧に把握することは難しいでしょう。そのため、課題の仮説を立てていくことが大切です。
仮説の立て方はさまざまです。直近の決算などを見て推測を立てる、ターゲットと同業種の顧客と同じような課題を抱えていないかな、といった具合です。
そして、新規開拓営業では自社の商品やサービスを売り込むのではなく、ターゲットの課題の把握に努めていくと良いでしょう。顧客の課題が明確になれば、適したサービスの紹介ができるなどアプローチが可能です。
新規開拓営業は、顧客へ訪問することが目的ではなく、信頼を構築していくことが目的です。そのためにも、ターゲットの分析をきちんと行い、課題を把握することが大切です。
KPIを設定する
KPIとは、Key Performance Indicatorの略称で、目標がどれだけ達成できているかを示すものです。KPIは細かく設定することが大切です。
たとえば、新規顧客獲得数の目標設定を行うことはもちろん、アポイント獲得数や顧客への訪問数、メール送信数などをKPIとして設定します。細かくKPIを設定することで、担当営業は、日々どのような業務を行わなければならないのか、目標までどれくらいの件数をこなさなければならないのかを可視化することができます。
また、管理職側もKPIを確認することで、進捗状況はもちろん、将来的な数字の予測にもつなげられます。自社のリソースなどの状況に合わせて、最適なKPIを設定することが大切です。
継続的にアプローチを行う
一度の訪問やアプローチで新規顧客を獲得することはほとんどありません。新規開拓営業は、見込み顧客に対して継続的にアプローチを行うことが大切です。定期的に顧客をフォローすることで信頼関係を構築し、商談化へ持っていく必要があります。
また、顧客の悩みをヒアリングし、悩みを解決する情報提供を行うことも効果的です。そのため、相手の目線に立ち継続的にアプローチを続けることで、商談へとつながっていきます。
PDCAサイクルで分析と改善を行う
PDCAサイクルとは、ビジネスにおける改善手法の一つです。「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の頭文字を取ったもので、PlanからActionまでを繰り返すことで、営業手法などが改善されていき、目標達成に近づけていくという手法です。
これまでの商談内容はどうだったか、計画に無理はなかったか、どのようなアプローチが有効だったのかなどをPDCAサイクルで分析していきます。改善点はもちろん、改善した成果なども見えてくるため、今後の営業アクションはどのように行えば良いかが具体化されていきます。
効果的でない営業活動だとしても、分析して改善を行うことで、意味のあるものになっていきます。そのため、常にPDCAサイクルを回すことを意識すると良いでしょう。
新規開拓営業の方法:アウトバウンド
アウトバウンドとは、自社から顧客に対して働きかける営業手法のことです。自社のターゲットに優先順位を付けて営業をかけられるなどのメリットがあります。
アウトバウンドによる具体的な新規開拓営業の手法には、主に次の4つが挙げられます。それぞれの営業手法について解説していきます。
・飛び込み営業
・電話営業
・メール営業
・レター営業
飛び込み営業
飛び込み営業とは、企業に訪問のアポイントがない状態で、直接企業に訪問する営業手法です。メリットとしては、担当者とつなげることができれば、対面で直接コミュニケーションを取ることが可能です。
また、一度対面しているため、次回のアプローチにつなげやすいというメリットもあります。一方で、昨今のコロナ禍の影響によって、飛び込み営業に好印象を与えられない場合も多いです。
電話営業
電話営業とは、営業リストに沿って一件一件、電話によるアプローチをかけていく営業手法です。
電話営業のメリットは、多くの顧客にアプローチができる点です。飛び込み営業と比較しても、1日で多くの企業にアプローチできます。また、資料請求の可否や訪問のアポイントを取り付けられたかなど、成果が見えやすいこともメリットです。
メール営業
メール営業とは、メールを活用してDMや商品案内、イベントの案内などを送信して、訪問のアポイントなどを取り付ける営業手法です。
メール営業のメリットは、コストを抑え、確実に相手の担当者にアプローチできることです。訪問の移動費などは必要ないため、コストはかかりません。また、たとえ返信がされなくても、メールを送信したことで確認してくれたかなどの電話営業につなげることも可能です。
レター営業
レター営業とは、自筆の手紙を書いて顧客の担当者とコンタクトを取る営業手法です。電話営業や飛び込み営業と比較して、取り入れている企業は多くありませんが、自筆によって誠意を伝えられることが大きなメリットです。信頼関係を構築するためには、最適な手法いえます。
新規開拓営業の方法:インバウンド
インバウンドとは、顧客側から自社に対してアプローチをかけてもらう営業手法です。
インバウンドのメリットは、すでに顧客側が自社や商品、サービスに対して興味を持っているため、前向きな話につながりやすいという点です。インバウンドの主な営業手法には主に次の5つが挙げられます。それぞれの営業手法について解説していきます。
・Webサイト運営
・SNS運営
・YouTube運営
・広告運用
・勉強会・セミナー・展示会運営
Webサイト運営
Webサイト運営は、自社でオウンドメディアなどを運営し、コンテンツを発信することで集客を行う方法です。顧客の課題を解決するような有益なコンテンツを配信することで、ターゲットに沿った顧客の獲得につながります。
Webサイト運営では、検索エンジンからの流入などを得るために、SEOの知識などが必要になってきます。
SNS運営
SNS運営とは、TwitterやInstagramなど自社アカウントを発行して、自社の紹介や商品やサービスの紹介を行うことで、顧客の獲得を狙う手法です。
SNS運営のメリットは、拡散力があることと、顧客の声をダイレクトに聞けることです。有益な情報が発信できれば、ツイートがバズり、多くの顧客に認知してもらうことにつながります。
また、リプライなどで顧客の声を聞けるため、どのような意見が集まっているか、どのようなものが求められているか分析を行うことができます。
YouTube運営
YouTube運営は、その名のとおり、YouTubeで動画コンテンツを配信して、顧客にアプローチをかける手法です。オウンドメディアなどと比較して、映像によって多くの情報を伝えることが可能です。
また、近年ではオウンドメディアよりもYouTubeで課題解決の方法を探すユーザーも増えています。そのため、効果的に活用できれば、大きな効果を見込めます。
広告運用
広告運用とは、広告媒体に自社の宣伝となるCMを掲載することで、顧客の獲得を図る手法です。街中の看板や電車のつり革などに掲げるオフライン広告や、Webメディアに掲載するオンライン広告などが挙げられます。
広告の発信する方法が多様化してきているため、自社の運用に合ったものを選択できることが最大のメリットです。ターゲットに合わせた広告を選択することが可能です。
勉強会・セミナー・展示会運営
勉強会やセミナーなどオフラインのイベントを開催することで、顧客の獲得を図る手法です。
勉強会などを開催するメリットは、自社の商品やサービスを認知してもらい、次のアプローチにつなげやすい点です。また、ターゲット企業の担当者もわかるため、見込み顧客として確実に獲得することが可能です。
昨今、コロナ禍の影響でオンラインセミナーを実施している企業が多くあります。そのため、遠隔地にいるターゲットに対しても、アプローチができるようになった点もメリットとして挙げられます。
まとめ
新規開拓営業は、数年後の自社の業績に直結する重要な施策といっても過言ではありません。効果的な新規開拓営業を行えた企業は、売上の増加やリスク回避による安定した業績につながっていきます。
新規開拓営業の手法はさまざまです。ぜひ、自社に適した手法で新規顧客を増やしてみてください。
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新規開拓営業に多くのリソースを割けない場合などに非常に有効なサービスなので、ぜひ検討してみてください。