人材派遣管理システム

昨今、多くの企業において、正社員だけではなく派遣社員が働いています。厚生労働省が発表している「国民生活基礎調査の概況」によれば、正社員として働く割合は男性が78.6%、女性が46.8%となっています。つまり、男性は5人に1人、女性は2人に1人が非正規雇用として働いているのです。

今後も非正規雇用として働く人は増えていくと考えられており、派遣として働いていく人も増えていくでしょう。こうした背景から人材派遣会社は、より多くの人材を適切な企業へと派遣をスムーズに行う必要が出てきました。

そこで導入が進んでいるのが、人材派遣管理システムです。ITの力を活用して人材派遣を適切に進めたいと考えている企業が増えてきました。今回は、人材派遣管理システムとはどのようなものかという概要から、導入するメリット、選定のポイントなどについて解説していきます。

人材派遣管理システムとは

人材派遣管理システムとは、人材派遣を行うスタッフの基本情報からマッチング、勤怠管理や給与計算などを行い、人材派遣業務の効率化を実現するものです。

人材派遣を行う企業は、多くのクライアント企業に人材を派遣し、さまざまな働き方で対応を行っています。

たとえば、8時間フルタイムで派遣を行っているスタッフもいれば、短時間勤務での派遣をされているスタッフもいます。このように、派遣スタッフの勤怠状況はさまざまであるため、登録しているスタッフの数が多ければ多いほど、勤怠状況の把握がしづらかったり、休暇取得の管理がしづらかったりするなどの事象が発生します。

膨大な数のスタッフを管理する際に、Excel(エクセル)で管理を行う場合、最新情報に更新されていないなどのケースも少なくありません。また、スタッフの勤怠管理と給与管理を別々のシステムで運用しているため、情報がバラバラに管理され、業務効率化を妨げているケースもあります。

人材派遣管理システムは、これらの情報をすべて一つのシステムにまとめるものです。人材派遣管理システムを導入することで、スタッフ情報の管理からクライアント企業への派遣や勤怠状況の確認などがスムーズに行えます。

人材派遣管理システムを導入することでできること

人材派遣管理システムを導入すると、次のようなことができるようになります。

可能になること

・派遣スタッフの基本情報管理
・派遣スタッフの契約情報の管理
・派遣スタッフの勤怠および給与管理
・求人案件と派遣スタッフのマッチング

派遣スタッフの基本情報管理

まず、人材派遣管理システムでは、「派遣スタッフの基本情報管理」をすることが可能です。氏名や住所、連絡先はもちろん、対応履歴まで管理ができます。

また、登録したスタッフは検索機能を活用することで、瞬時に該当のスタッフを見つけ出すことも可能です。そのため、社内での情報共有などを行う場合でも役に立ちます。

派遣スタッフの契約情報の管理

派遣スタッフの契約情報の管理は、システム上で、一括で管理することです。

人材派遣管理システムが主流になる前は、紙で契約を管理することが主流でしたが、人材派遣管理システムを導入することで、システム上ですべての契約情報の管理ができます。紙のファイリングの手間や管理スペースの確保などの必要がなくなります。

派遣スタッフの勤怠および給与管理

システム上で、一元的に派遣スタッフの勤怠および給与も管理できるようになります。そのため、円滑な勤怠計算や給与計算が実現できます。

求人案件と派遣スタッフのマッチング

人材派遣管理システムには、マッチング機能が備わっており、この機能を活用することで、派遣スタッフの希望条件と合う求人を簡単に検索することが可能です。そのため、派遣後のミスマッチの確率を減らすことにつながります。

人材派遣管理システムを導入するメリット

人材派遣管理システムを導入するメリットは、主に次の5つが挙げられます。

メリット

・勤怠管理の効率化ができる
・給与計算や管理の効率化ができる
・契約や案件管理が容易にできる
・マッチング精度の向上が期待できる
・法改正への対応が容易にできる

それぞれのメリットについて解説していきましょう。

勤怠管理の効率化ができる

人材派遣管理システムを導入することで、派遣スタッフの勤怠管理業務を効率化することができます。

先ほど解説したように、人材派遣では派遣スタッフの数が多くなればなるほど、登録しているスタッフの勤怠状況が管理しづらくなることに加え、就労環境も千差万別のため、管理が煩雑になりやすいことが大きな課題です。

しかし、人材派遣管理システムを導入することで、すべてのスタッフを一元的にシステム上で管理できるため、簡単に勤怠状況を把握することが可能です。

勤怠管理を間違えてしまうと、給与にも影響が出てきてしまいます。人の手で入力するとヒューマンエラーが起きてしまう可能性があるため、システムで自動化し、業務の簡略化を実現できます。

給与計算や管理の効率化ができる

勤怠管理と同様に、給与計算や管理についても、派遣スタッフが多くなればなるほど煩雑化していきます。特に、給与計算業務は、保険料の計算など税金に関わる部分や就労環境によっても異なるため、手動で行うとミスが発生しやすい業務です。

人材派遣管理システムを導入することで、給与計算は自動化されるため、担当者の業務負担は大きく軽減されます。また、システム化することで、請求漏れなどの可能性がなくなり、トラブルに発展することもなくなります。

支払いに関する情報は、勤怠管理データとリアルタイムで連携されるため、自身で計算することはなくなります。日払いや週払いなどの要望にも簡単に対応できるようになることも嬉しいポイントです。

契約や案件管理が容易にできる

派遣スタッフの契約情報やクライアントとの案件管理も、人材派遣管理システムで容易に管理することが可能です。

派遣スタッフの契約情報は、現在の派遣先企業や契約内容などを一覧で可視化できるようになるため、簡単に状況を把握することができます。また、情報はすべてシステム上で一元管理されているため、個人情報を安全に管理することにもつながります。

瞬時に該当の情報を把握できるため、連絡がスムーズに行えるなどのメリットがあります。

マッチング精度の向上が期待できる

派遣スタッフと派遣先企業の相性は非常に重要です。派遣先が求めている企業とは異なる人材を派遣してしまった場合、派遣先・スタッフのどちらにとっても好ましくはありません。

また、自社に対しても不満が募ってしまう結果になります。そのため、派遣先企業と派遣するスタッフの相性は重要です。

人材派遣管理システムを導入することで、登録しているスタッフの情報や希望をより詳細に管理することが可能です。システムから派遣先に適した人材を抽出することも可能なので、マッチング精度の向上も期待できます。

求めている人材を派遣先にすぐに派遣することで、自社の評価にもつながります。こうした派遣先とスタッフのマッチング精度の向上が期待できる点もメリットの一つです。

法改正への対応が容易にできる

派遣に関連する「労働者派遣法」は、改正などが頻繁に行われるものの一つです。

たとえば、2015年には同一組織へ3年以上派遣労働を禁止するようになり、2020年には大企業向けに「同一労働同一賃金」制度が制定されています。こうした法改正が行われた際には瞬時に対応ができなければ、ミスや法令違反につながってしまいます。

人材派遣管理システムを導入すれば、こうした法改正への対応もシステムが自動的にアップデートされ、容易に対応することが可能です。

人材派遣管理システムの選定ポイント

人材派遣管理システムを導入する場合には、自社に合ったシステムを導入することが大切です。自社に合ったシステムでなければ、導入をしたとしても、業務効率が落ちてしまう可能性があります。

そのため、導入に際しては、次の5点に注意すると良いでしょう。

ポイント

・費用対効果が優れているか
・自社の利用目的に合っているか
・自社が利用しているシステムとの連携が可能か
・操作性は問題ないか
・サポート対応は問題ないか

それぞれの選定ポイントについて解説していきます。

費用対効果が優れているか

システムを導入する際には、必ず費用がかかります。

クラウド型などを導入した場合、月額利用料や年間利用料などの形で契約を行うことがほとんどです。そのため、身の丈に合わないシステムを導入してしまうと、コストが嵩んでしまいます。

事業規模が小さかったり、スタッフの登録人数が少なかったりするといった場合は、無理にシステムを導入する必要はないでしょう。導入した場合のコスト、その後の事業がどのようになっていくかを分析し、費用対効果に優れているシステムを導入することが大切です。

自社の利用目的に合っているか

システムは、導入することが目的ではなく、導入することで自社にどのような結果をもたらしたいかという目的が重要です。

システムを導入する目的は、企業によってさまざまです。そのため、自社の利用目的から逆算して実現ができるシステムを選定することが大切です。

自社が利用しているシステムとの連携が可能か

人材派遣管理システムは、他のシステムと連携を行うことで、より効果を発揮します。勤怠管理システムや給与計算システムと連携できるものもあれば、マイナビやリクナビと連携を行えるものもあります。

多くのシステムと連携できると利便性は広がりますが、まずは自社がどのシステムと連携すれば業務効率化や成果につながっていくのかを考え、選定を進めていくと良いでしょう。

操作性は問題ないか

システムを導入しても操作が難しければ、業務効率が落ちてしまうばかりか、利用しなくなってしまう可能性もゼロではありません。特に、新しいシステムを導入する際は、操作手順を覚えるなどが必要になるため、抵抗感を持ってしまう人もいるでしょう。

多くの機能を備えていても、操作性が低ければ効果は発揮できません。そのため、直感的に操作ができるシステムの選定はもちろん、無料トライアルなどによって実際に担当者に触ってもらい、問題がないかを確認することも大切です。

サポート対応は問題ないか

システムは、導入期間よりも運用期間の方が長いものです。そのため、適切な運用ができなければ、業務に支障をきたしてしまいます。

特に、新しいシステムは慣れるまでに時間がかかったり、突然のトラブルが発生したりすることが往往にしてあります。こういった事態に迅速に対処するためには、スムーズなサポート対応は欠かせません。

導入しているメーカーやベンダー企業のサポート体制はどのようになっているか、自社の営業時間には問題なくサポートしてもらえるかなどについて確認しておくと良いでしょう。

人材派遣管理システムの3つのタイプ

一口に人材派遣管理システムといっても、次のような3つのシステムに分類することができます。

人材派遣管理システムの3つのタイプ

・マッチング精度の向上に特化したタイプ
・派遣先の管理や営業に強みがあるタイプ
・労務管理や給与管理などに強みがあるタイプ

ここでは、それぞれのシステムのタイプについて解説していきます。

マッチング精度の向上に特化したタイプ

マッチング精度の向上に特化したタイプは、スタッフの状況把握やリアルタイムでの情報更新に強みがあります。また、マイページ機能やビジネスチャット機能などを備えていることが多く、コミュニケーションが容易に取りやすいことも特徴です。

派遣先の管理や営業に強みがあるタイプ

派遣元の企業としての管理機能が充実しているタイプです。クライアントとの契約情報や採用案件の内容を一元管理できるため、多くのクライアントを抱えている企業にとっては嬉しいタイプです。

また、派遣しているスタッフのフォローを行える機能や、契約期間の延長手続きの簡略化も可能であるため、営業職にとっても業務効率化が実現できます。

労務管理や給与管理などに強みがあるタイプ

自社が労務管理や給与管理に大きな課題をかかえている場合は、こちらのタイプを選択することがおすすめです。

労務管理から給与の支払いがスムーズに行える機能を兼ね備えていることはもちろんと、勤怠承認なども簡単に行えます。この強みがあるタイプは、クライアント企業とのシームレスな連携ができることが大きく、業務効率化に大きく貢献します。

おすすめ人材派遣管理システム:マッチング精度の向上に特化

ここでは、マッチング精度の向上に特化したシステムを紹介します。マッチングに課題を抱えている場合は、ここで紹介する内容を参考に選定を進めてみてください。

jobs

jobs

jobsは、当社ディップ株式会社が提供する中小企業向けの人材派遣ソフトです。

jobsの特徴は、派遣情報の管理や登録、アサインなどが迅速かつ簡単に実施できることです。登録スタッフへメールを促し、案件紹介から就職決定まで最短提供を可能にします。

他にも、使いやすさにこだわったUI(ユーザーインターフェース)や、SaaSでの提供で社外からもアクセスできるなど、利便性にこだわっているのもポイントです。

料金プラン:

  • 月額35,000円
  • ※Jobsアカウント 27,500円+サポート料金 7,500円

公式サイト:

MatchinGood

MatchinGood

MatchinGoodは、株式会社ブレイン・ラボが提供している人材派遣管理システムです。

1,100社以上の導入実績を誇り、人材の管理から給与支払いまでを簡単に行うことができます。派遣スタッフがスマホから勤怠入力ができる「WEB勤怠」や、担当者間の情報共有を容易にする「LINE連携」などの機能があります。

料金プラン:

  • 要問い合わせ

公式サイト:

CROSS STAFF

CROSS STAFF

CROSS STAFFは、株式会社 アイルが提供するスタッフの基本情報管理から就業管理、対応履歴までをトータル的にサポートができるシステムです。基幹システムとの連携や外部サービスとのAPI連携にも強みを持っているため、業務効率化が促進されます。

料金プラン:

  • 30,000円/月

公式サイト:

HRビジネスクラウド

HRビジネスクラウド

HRビジネスクラウドは、ポーターズ株式会社が提供する、1,500社以上に導入実績を誇るマッチングに特化した人材派遣管理システムです。

求人媒体との連携はもちろん、案件に対してのスタッフの絞り込み、未提案の人材に対しての紹介などをスムーズに行えます。

料金プラン:

  • 15,000円/月(1ユーザー)

公式サイト:

フォーカス人材派遣管理

フォーカス人材派遣管理

フォーカス人材派遣管理は、株式会社ディー・マネージが提供する、操作性が抜群の人材派遣管理システムです。直感的な操作で利用ができ、画面のアイコンに沿っていくだけで煩雑な手続きが簡単に完了します。

弥生給与などと連携が可能であるため、弥生シリーズを自社で導入している場合は、親和性が高く利用できます。

料金プラン:

  • 要問い合わせ

公式サイト:

おすすめ人材派遣管理システム:派遣先の管理や営業に強み

続いては、派遣先の管理や営業に強みを持つ人材派遣管理システムを紹介します。より業務の拡大などを目指している企業は参考にしてみてください。

スタッフナビゲーター

スタッフナビゲーター

スタッフナビゲーターは、ユニテックシステム株式会社が提供する、2,800社以上に導入されている人材派遣管理システムです。

20年以上の実績があり、使いやすさと機能性で高い評価を得ています。派遣先の管理はシステム上で一元化でき、簡単に共有ができるため、対応の属人化を防ぐことにもつながります。

料金プラン:

  • 要問い合わせ

公式サイト:

PORTERS Staffing

PORTERS Staffing

PORTERS Staffingは、ポーターズ株式会社が提供する、派遣事業の利益拡大をサポートするための派遣フロントシステムとして評価の高いシステムです。

特に、営業職の業務効率化に貢献できるように、マッチングからサポート、契約更新までをワンステップで行えるような設計がされています。

料金プラン:

  • 15,000円/月

公式サイト:

クオリード人材派遣クラウド

クオリード人材派遣クラウド

クオリード人材派遣クラウドは、株式会社アドソフトが提供するAIを活用した人材派遣管理システムです。

業務に関するキーワードを入力することで、登録されたスタッフの中から適した人材をAIがピックアップしてくれます。AIを活用した客観的な評価になるため、クライアント企業を獲得したい際の強みとしても利用できます。

料金プラン:

  • 19,800円/月(1ユーザー)

公式サイト:

おすすめ人材派遣管理システム:労務管理や給与管理などに強み

続いては、派遣スタッフの労務管理や給与管理に強みを持つ人材派遣管理システムを紹介します。労務管理や給与管理に課題を抱えている場合は、ここで紹介するシステムから選定を進めていくのがおすすめです。

スタッフエクスプレス

スタッフエクスプレス

スタッフエクスプレスは、株式会社エスアイ・システムが提供する受注から会計システムの連携までをワンストップで行うことが可能な人材派遣管理システムです。

システムの設計に加えて、適切な業務フローを構成するためのコンサルティングサービスも提供しています。

料金プラン:

  • 要問い合わせ

公式サイト:

e-staffing

e-staffing

e-staffingは、株式会社イー・スタッフィングが提供する国内最大の人材派遣管理システムです。

派遣元の企業はもちろん、派遣先の企業にもシステムとして対応しており、派遣先の企業は無料で利用できることが特徴です。労務管理に強く、法改正には瞬時に対応し、法令を踏まえた個別契約書を作成および管理ができます。

料金プラン:

  • 要問い合わせ

公式サイト:

ORDIA

ORDIA

ORDIAは、株式会社ステラスが提供する労務管理や給与管理など、人材派遣を行う業務に必要な機能がワンパッケージとしてまとめられたシステムです。

社会保険や年末調整にも対応しているため、労務や給料に関わる幅広いサポートが可能です。

料金プラン:

  • 要問い合わせ

公式サイト:

派遣can

派遣can

派遣canは、株式会社BEAM.Iが提供する中小企業向けの人材派遣管理システムです。

オールワンパッケージではなく、自社にとって必要な機能を選択してシステムを構成するため、コストの削減も可能になります。給与管理に大きな課題を抱えている場合には、給与管理機能を豊富に備えるなどができるため、自社の運用に合わせたシステムが構成できます。

料金プラン:

  • 要問い合わせ

公式サイト:

グッジョブ

グッジョブ

グッジョブは、株式会社キャムテックが提供する労務関係に強い人材派遣管理システムです。

契約書の作成はもちろん、リアルタイムでの勤怠確認ができるため、スタッフの36協定管理などを簡単に行えます。またスタッフ情報をCSVとして活用できるため、独自に加工して利用することも可能です。

料金プラン:

  • 2,000円/月(1スタッフ)

公式サイト:

まとめ

人材派遣管理システムを活用することで、情報を一元管理でき、担当者の負担軽減や業務効率化につながります。

大切なことは、自社がなぜ人材派遣管理システムを導入するのかです。きちんとした目的を持ち、課題解決に沿ったシステムを導入することで、効果は最大限発揮されます。

自社に適した人材派遣管理システムを導入して、自社にとってもクライアントにとっても、派遣スタッフにとっても良い環境を作ってみてください。

なお、当社ディップ株式会社は、中小企業向けの人材派遣ソフト「jobs」を提供しています。

jobs

派遣情報の管理や登録、アサインなどが迅速かつ簡単に実施できることが特徴です。登録スタッフへメールを促し、案件紹介から就職決定まで最短提供を可能にします。他にも、使いやすさにこだわったUI(ユーザーインターフェース)や、SaaSでの提供で社外からもアクセスできるなど、利便性にこだわっていることもポイントです。 少しでもご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。