成果につながる、効率の良い営業活動を実現するために役立つのがアタックリストの存在です。あらかじめ質の高いアタックリストを用意しておくことで、無駄なく顧客へのアプローチを行い、成約率を高められるようになります。
今回は、営業活動のパートナーとなるアタックリストの作り方について、効果的な運用方法とともに解説します。
アタックリストとは
アタックリストは、営業をかけることで何らかの成果が期待できると考えられる顧客情報をまとめたリストのことです。
アタックリストの呼び方は企業によって異なり、「顧客リスト」や「営業リスト」、「ターゲットリスト」などと呼ばれています。いずれにせよ、アタックリストの目的は変わらず、闇雲な営業活動を避け、自社や自社製品に興味を持ってくれそうなターゲット情報をまとめるために作成します。
リストをなぞるだけで高い営業効果を発揮できる必要があるため、作成の際にはある程度のノウハウと時間が必要になります。
アタックリストを作る理由
アタックリストは営業活動に絶対必要というわけではありませんが、時間や労力を無駄にしない営業を実現する上では非常に効果的です。アタックリストが活躍する理由には、次の2点が挙げられます。
・営業活動は属人化しやすいため
・データ活用の手段が多様化したため
営業活動は属人化しやすいため
1つ目の理由は、営業活動の属人化のしやすさです。
事務作業とは異なり、営業業務はその大半を見込み客とのコミュニケーションや関係構築に割く必要があるため、担当者の営業スキルに出来高が大きく左右される傾向にあります。
そのため、人と仲良くなるのが得意な人や、年月をかけてコネクションを構築している人、巧みな話術で成約を得られるトップのセールスパーソンは、高い成果を創出できる一方で、トップ層ほどの技術を持たない担当者は成果をなかなか得られず、コツが掴めるまでに時間がかかるというケースもあります。
トップ層とそうでない層のギャップが激しいため、トップ層が不調のときや退職してしまったときには営業成績が落ち込んでしまい、事業の成長が停滞するリスクがあります。
アタックリストの作成は、このような営業担当者の能力のギャップを解消し、属人化を回避する役割を担います。見込みの高いターゲットをリスト作成の過程でピックアップできれば、ずば抜けた営業能力はなくとも成約に結びつけやすくなります。
データ活用の手段が多様化したため
2つ目の理由は、データ活用手段の多様化です。
今日では、多くの企業でデータ活用が進んでいますが、これを促進したのがデジタルツールの登場です。さまざまなITサービスを駆使して見込み客の行動を見える化することで、企業は行動履歴に基づく見込み客の関心度合いを数値に落とし込めるようになりました。
ツールを導入することによって、問い合わせ履歴やメールマガジンの開封率など、見込み客の一挙一動が手に取るようにわかります。
こういった情報を参考にすることで、アタックリストはただの情報の羅列ではなく、成約率アップにつながる厳選されたリストとして多くの組織で活躍しています。
アタックリストを作成するメリット
精度の高いアタックリストの作成は、営業活動に複数のメリットをもたらしてくれます。ここでは、主な3つのメリットについて解説します。
・営業活動を効率化できる
・営業成績が安定する
・組織的なデータ活用を促進できる
営業活動を効率化できる
1つ目のメリットは、営業活動を効率化できることです。
あらかじめアタックリストを用意しておくことで、営業担当者はリストに則ってアプローチすれば一定の成果を期待できるため、「誰に営業をかければ良いのか?」というところから頭を悩ませる必要がなくなります。
効率的に興味を持ってくれそうなターゲットを探すことだけに集中できるため、営業スピードの向上が期待できます。
営業成績が安定する
2つ目のメリットは、営業成績が安定することです。
アタックリストは、成約見込みの高そうなターゲットに絞って情報をリスト化しているため、極端に成約が得られない日が出てきてしまうことを回避できます。
見込みのありそうなターゲットに絞っているとはいえ、必ず成約が得られるとは限らないものの、手当たり次第にアプローチをかけるよりは成績を得られやすい環境を整備できます。
組織的なデータ活用を促進できる
3つ目のメリットは、組織的なデータ活用を促進できることです。
作成したアタックリストは、特定の担当者だけが利用するのではなく、営業担当者全員で共有する形で運用することが一般的です。そのため、見込みのあるターゲットに関する情報が特定の営業担当者のコネクションに依存しなくなるため、まだ業界経験が浅く、情報網も構築できていない若手の営業担当者でも確度の高いターゲットに近づけるようになります。
見込み客の情報も企業が所有するデータ資産として扱い、組織の利益のため社員に共有できる環境を構築することが、アタックリスト作成に求められる条件です。
アタックリストの作り方
これまでお伝えしたようなアタックリストのメリットを踏まえた上で、ここでは具体的なアタックリストの作成方法について確認しましょう。アタックリスト作成においては、次の3つのステップを踏まえることが大切です。
・ターゲットを定める
・ターゲットの情報を収集する
・リストを作成する
ターゲットを定める
1つ目のステップは、ターゲットを明確に定めることです。
アタックリストを作成する目的は、成約率の向上につながるターゲットをピックアップしてリスト化することにあります。そのためには、まずどのような人物や組織をターゲットとするかということから考える必要があるでしょう。
適切なターゲット選定を進める上では、営業活動を通じてどういった商品を成約につなげたいのかということを念頭に置きます。自社商品の強みやアピールポイント、世間ではどのようにその商品が評価されているかを客観的に評価するところから始めることが大切です。
自社や自社商品が世間でどのように評価されているか、どんなニーズに応えられそうかを正しく捉えられれば、自然とアプローチすべきターゲットのイメージも具体的に固まっていきます。
ターゲットの情報を収集する
2つ目のステップは、ターゲット情報の収集です。
アプローチすべき相手がわかった後は、ターゲットに対してどのようにアプローチすれば良いのかを検討するための情報を集める必要があります。ターゲットのニーズやどのようなライフスタイル、ビジネスモデルを有しているのかがわからなければ、正しく接点を得られないためです。
ターゲットの情報を把握するための方法は、非常に豊富です。ターゲットが企業であれば、その領域の企業のコーポレートサイトを見比べてみたり、新聞などから業界の情報を常に追いかけたりすることで、ターゲットに入り込む余地を見出せます。
ターゲットが消費者の場合も、インターネットを活用した情報収集が効果的です。GoogleやYahoo!などの検索エンジンに自社商品やターゲットに関連するキーワードを入力し、検索されている関連語や上位に表示される検索結果を参考にすることで、大まかなトレンドの動向を掴むことができます。
あるいは、TwitterなどのSNSでキーワードを検索すれば、よりリアルタイムのトレンドを正確に追いかけることもできるでしょう。消費者のトレンドの移り変わりは非常にダイナミックであるため、アタックリスト作成後も常に情報収集を絶やさずに実施し、リストを最新の状態に維持することが大切です。
リストを作成する
ターゲットへアプローチするために必要な情報がある程度集まった後は、実際にリスト作成を進めていきます。
リスト作成に際しては、あらかじめフォーマットとして必要事項をまとめておき、ターゲットごとに情報の質にばらつきがある事態を回避することが大切です。アタックリストに掲載しておきたい項目としては、次のようなものが挙げられます。
・会社名・氏名
・性別
・電話番号
・住所
・メールアドレス
・業種
・アタックの結果
必要に応じて、これらの項目を設置しましょう。特に、実際にアタックしてどのような結果が得られたかという事後報告に関する「アタックの結果」は、別の営業担当者が同じターゲットにアプローチをかけてしまうリスクを回避したり、営業活動の進捗報告を効率化したりすることに役立つため、設けておいて損はありません。
具体的な会社や消費者の情報を集める上では、調査企業が独自に収集しているデータベースを購入したり、担当者が受け取った名刺情報をデジタル化したりすることで、一つのリストへとまとめます。あるいは、企業への問い合わせ履歴からターゲット情報をピックアップし、リスト化するなどの方法も挙げられます。
アタックリスト作成で意識すべきポイント
アタックリストの作成は、リストの内容が情報の羅列になってしまわないよう注意して行う必要があります。ここでは、リスト作成の際に意識すべきポイントを解説します。
・営業戦略を事前に固める
・情報収集は多角的に行う
・ターゲットの分析は丁寧に行う
営業戦略を事前に固める
1つ目のポイントは、営業戦略をあらかじめ固めておくことです。
アタックリストの作成は、あくまでも効率的な営業活動をサポートするための業務であるため、リスト作成が直接企業の収益に直結するわけではありません。
営業活動を最大化するリストを作るためには、その前提となる営業戦略を社内で策定し、共有することが必要です。営業戦略が明確になっていることで、狙うべきターゲットや押し出すべきアピールポイントを具体化しやすいため、リスト作成の前に確認しておきたい点といえます。
営業戦略の策定には、さまざまなフレームワークを活用することが大切です。たとえば、「3C分析」と呼ばれるフレームワークは、さまざまな企業で採用されている、代表的な戦略策定手段です。
3C分析は、「自社(Company)」「競合(Competitor)」「顧客(Customer)」の3つの要素を明らかにすることで、効果的な営業方法を検討する手法です。「自社の強みは何か」「競合のシェアや弱点はどこにあるのか」「顧客が求めているものは何か」を調査し、予測するところから具体的な施策へと落とし込みます。
アタックリストを作成する前に、まずは戦略的な営業プロセスを確立することが大切です。
情報収集は多角的に行う
2つ目のポイントは、多角的な情報収集を行うことです。
特定の媒体に偏った情報収集を行っていると、ターゲットについての十分な情報を集められなかったり、正確ではない情報をあてにして誤ったアプローチをしてしまったりすることになりかねません。
新聞やコーポレートサイト、SNS、調査機関の資料などへ広く触れることで、正しいターゲティングとターゲットへの適切なアプローチ方法を開拓できます。
ターゲットの分析は丁寧に行う
3つ目のポイントは、ターゲットの分析を丁寧に行うことです。
先ほどお伝えしたように、正しくターゲットをピックアップし、彼らへの理解を深めるためには、多角的な情報収集が大切です。ただ、どれだけ多くの情報を収集していても、情報を有効活用できなければ精度の高いリスト作成は望めません。
営業の効率化につながるアタックリスト作成を実現するためには、分析のためのフレームワークを用いることが効果的です。
分析のためのフレームワークは多岐に渡ります。ターゲットの属性や特徴を可視化して分類する「セグメンテーション分析」や、ターゲットを商品の「カテゴリ(Category)」「テイスト(Taste)」「ブランド(Brand)」という3つの指標に分類し、購買予測を立てる「CTB分析」といったものもあります。
ターゲットのニーズを深いレベルで理解し、リストに掲載すべき企業や消費者の情報を厳選することが大切です。
アタックリストを効果的に活用する方法
作成したアタックリストをさらに有効活用するためには、次の3つの方法を実践しながら運用すると効果的です。
・効果測定と改善施策を繰り返し実施する
・情報は常に最新のものに更新する
・情報収集やリスト管理にツールを活用する
効果測定と改善施策を繰り返し実施する
アタックリストは一度作成して終わりではなく、効果測定を行いながら定期的に改善を加えていきます。
確度が高いと考えていたターゲットからあまり良い反応が得られなかったとなると、リスト作成の方法や営業のアプローチに問題があったことが考えられます。それを見直す機会を設け、修正することを仕組み化すれば、こういった事態が発生するリスクを最小限に抑えられます。
アプローチ結果を参考にしながら改善を進めることで、さらに効果的なリストの作成とターゲティングのノウハウを蓄積することができます。効果測定を積極的に行い、リスト作成の精度を高めましょう。
情報は常に最新のものに更新する
アタックリストに掲載されている情報は、常に最新のものであることが大切です。最新の情報に更新されていないと、ターゲットの連絡先が変わっていたり、すでに競合製品を購入していて自社で成約を得られる見込みがなかったりするためです。
こういったアプローチの成果が見込めないリストを常用していては、成約率を思ったように高めることができず、営業担当者の成果改善につながりません。アタックリストはオンラインで管理し、リアルタイムで情報を更新できる仕組みを採用することが理想的です。
情報収集やリスト管理にツールを活用する
アタックリストをより合理的に作成するためには、手動で作成するのではなく、ツールを活用した作成へと移行することが理想的です。
手動でのリスト作成にはとにかく時間がかかるだけでなく、リスト作成に伴うターゲットの選定が担当者の主観に依存してしまったり、リスト作成でミスが発生し正しい情報を共有できなかったりといった懸念があるためです。
近年はリスト作成に特化したツールが複数登場しており、最新のデータベースから自動でリストを作成・更新してくれるものが増えています。大まかなリスト作成はツール活用によって自動化し、さらなる厳選を担当者が対応するというプロセスを採用すると効率的です。
まとめ
アタックリスト作成の概要やメリット、そして作成の手順や活用のポイントについて解説しました。
アタックリストは営業効率を高める効果が期待できるのみならず、成約率を高め営業担当者のモチベーション向上にも役立ちます。
ただ、アタックリストは単なる情報の羅列ではなく、自社にとって確度の高いターゲットを発掘・厳選した上で作成する必要があります。そのためには、自動化ツールを導入するなど、業務を自動化することも視野に入れると良いでしょう。
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