人材派遣会社にとって経費管理を正確に行うことは、健全な企業運営をするうえで重要なポイントです。しかし「経費管理がスムーズに行えない」「経費精算の業務負担が大きい」などの課題も考えられます。
そこで、今回は人材派遣会社向けに経費管理のポイントを解説します。経費管理の基本的な知識も振り返りますので、ぜひ参考にしてください。
経費管理とは
まずは経理管理について、基本知識を押さえましょう。経費管理とは、交通費や交際費など企業の経費を管理することです。当然のことながら人材派遣会社のみならず、どの企業もいかに支出を抑えるかが大事です。
支出が増えることで利益を圧迫して企業経営にも影響を及ぼします。そのため、いかに経費管理を効率化して、利益を残せるかがポイントになります。
経費管理で押さえるべき用語
経費管理をするうえで「固定費」「変動費」「原価」「販管費」は押さえるべき用語です。まず固定費は売上にかかわらず発生する費用であり、オフィスの賃料などが該当します。
変動費は売上などに応じて変動する費用であり、人材派遣会社においては人件費が該当します。また、原価は売上のために必要な費用を意味します。人材派遣会社では人件費も原価に該当します。また、人材募集のための販管費も経費管理では注視したい項目です。
経費管理が必要な理由
次は経費管理が必要な理由を解説します。人材派遣会社において、経理管理が必要な理由として主な内容を3点に絞って紹介します。
・経営分析を正確にできるから
・自社の会計財産を守れるから
・資金需要を予測できるから
経営分析を正確にできるから
経費管理が適切に行えると、経営分析を正確にできます。先述のとおり、経費が膨らむと企業の利益を圧迫するため、経費をいかに抑えるかが大事です。経費を抑えるには、月々の経費を正しく把握する必要があります。年単位においても経費額を算出して、必要な売上の検討が求められます。
例えば、当月の経費計上が翌月に持ち越されると、当月の経費がゼロとなり利益が過大に算出されてしまいます。さらに翌月に2ヶ月分の経費が計上されるため、翌月は利益が過少に算出されます。このケースにおいて数字だけで判断すれば、翌月の実績が経平不振と誤った判断がなされます。
適切に経費管理をすれば、1か月単位、1年単位の経営分析が正確に行えて、企業経営にも活かせます。
自社の会計財産を守れるから
社員が「必要な経費」として自由に経費を使えるようにすると、自社の財産の浪費につながります。「派遣先の新規開拓のための交通費」「既存取引先との接待交際費」など、必要な経費が生じる場面は多々あるものの、全てを認めることで財政を圧迫します。
経理業務担当者は、常に社員の経費の使用状況を把握して、会社の財産を守る意識を持つ必要があります。社員が経費を使う際は、事前承認を義務付けることが求められます。しかし、「電車の乗車料金300円」など微小な経費まで事前承認を義務付けると、経理担当者の業務負担が増えてしまいます。
便宜上、期間を区切ってまとめたり、一定額までの経費は事前承認を不要にしたりして対応する必要があります。
資金需要を予測できるから
経費管理が適正に行われると、企業活動において必要な資金需要を予測できます。特に社員が経費を立て替えることは、会社に対して支払いを請求する権利を持つことを意味します。言い換えると、会社が社員に対して借金をしていることと同様であり、経費の清算は借金返済と変わりません。
ここで1年に1回の経費精算をすれば、会社として経費総額を1回で支出する必要があります。一方で毎月経費精算をすれば、年12回の支出となるため、資金需要が低いです。先々を見越した会社財産のためには、経費管理が不可欠です。
経理管理の流れ
ここからは経費管理の流れを解説します。すでに社内で経費管理の流れを確立している場合は、おさらいとして確認しましょう。
・社員が経費を立て替える
・事後清算で承認を得る
・各種システムに入力後に社員に清算する
社員が経費を立て替える
まずは社員の自己判断により、会社の経費となる物品やサービスを購入します。ただし、物品やサービスによっては高額になる場合があるため、事前承認の仕組みも作っておきましょう。
特に交通費や交際費は不正が多発しやすいため、事前承認の対象にしましょう。交通費であれば出張を伴う業務の際に、行き先や目的、商談相手などを把握すると不正が防げます。交際費においても、「いつ」「誰と」「どこで」「どんな目的か」を把握したうえで承認してください。なお、社員が経費を決済する方法は現金もしくはクレジットカードです。
事後清算で承認を得る
次は社員が立て替えた経費の清算で承認を得ます。経費を承認する際は、証拠書類となる領収書を添付してもらいます。事後承認の場合は、領収書とともに経費が社内業務の遂行に必要であことを書面等で説明してもらう必要があります。
申請された経費が社内規定に従い、所属部署などの予算に従う適正な内容であれば、承認してください。事前承認を行った際も、正しく経費が使われているかどうか、同様の手順で精査してください。
各種システムに入力後に社員に清算する
経費を承認したら社内システムに入力し、社員に精算します。人材派遣会社の場合は、小口精算ですぐに精算するケースは少ないと考えられるため、規定日にまとめて振り込む処理を行ってください。
このシステム入力から社員への精算までには会計知識が必要です。場合によっては差し戻しの手間が発生するため、いかに効率的に行えるかがポイントです。
経費管理の方法
経費管理をする際は次の内容で解説する3つの方法があります。それぞれの特徴を区別して自社に適する方法を選んでください。
・エクセルを活用する
・会計ソフトを活用する
・経理管理ソフトを活用する
エクセルを活用する
経費管理にできるだけ費用をかけたくない場合はエクセルが向いています。エクセルは代表的な表計算ソフトであり、各種ツールやソフト関係を導入するよりも費用がかかりません。すでにエクセルを導入している場合は、費用をかけずに経費管理が可能です。
エクセルで経費管理をする際は、関数などを使うとスムーズに処理できます。また、経費の承認状況はプルダウン機能を使うことで、簡単に処理できます。エクセルは他のシステムとの連携が可能であり、効率よく経費管理ができます。自由度も高く自社が使いやすいファイルにすることも可能です。
一方でエクセルによる経費管理では、社員がファイルを使えるようにマニュアル作りが必要です。経費精算や経費管理のルールを明確にして、詳細かつ分かりやすいマニュアルをもとに運用することが求められます。
また、ファイルの情報漏洩やデータ紛失の対策も必要です。エクセルで作成したファイルは簡単にコピーができるため、外部への持ち出しも容易です。複数の社員が同じファイルに入力することで、データの誤入力や誤削除も考えられます。
ファイルのパスワード設定、バックアップ保存、データの漏洩対策を万全にして運用してください。
会計ソフトを活用する
会計ソフトによる経費管理も可能です。市販の会計ソフトを導入して、勘定科目を確認しながら仕分け台帳に入力していきます。会計ソフトは安価なものから高価なものまで、幅広く提供されており、自社の経費管理や会計管理の特徴に合せて選べます。
人材派遣会社の経費管理の特徴に合せた会計ソフトも存在するため、さまざまなツールを比較してみてもいいでしょう。エクセルよりも効率的に、正確に管理できるソフトが提供されています。
ただし、会計ソフトはあくまでも手入力による転記であるため、ミスの発生を完全に防ぐことができません。また、会計ソフトは必ずしも経費の事前承認や事後承認のフローに対応しているわけではありません。経費精算のフローを別に作成する必要があります。
経理管理ソフトを活用する
経理管理に特化したツールやソフトを使うことも方法の一つです。経理管理ソフトは、事前承認や事後承認、立替金の精算などまで対応できるように設計されています。経理管理は煩雑になりやすい点が過大ですが、経理管理ソフトを導入することで作業効率を向上させられます。
経路管理ソフトによっては、期別や年ごとに予算を設定しセグメントごとの予算管理や集計も可能です。目標と進捗を明確に確認できることで経営分析が可能となり、資金需要も正確に把握できます。
ただし、難しいシステムを導入すると社員が使いこなせず、かえって業務効率を低下させます。ソフト導入にあたり、周知資料の作成や運用方法も定める必要があります。
人材派遣会社の基幹システムなら「jobs」がおすすめ
人材派遣会社の経費は派遣スタッフの人件費が多くの割合を占めます。そのため、派遣スタッフの管理を適切に行い、経費も正確に算出することが求められます。派遣スタッフの人件費など経費を正確に算出するには、基幹システムの導入や見直しもご検討ください。
そこでおすすめな基幹システムは「jobs」です。「jobs」は中小企業のための派遣期間システムであり、派遣会社に必要な業務を一元管理できます。具体的には案件やスタッフの管理、アサイン、契約書管理、そして勤怠・給与・請求に関する機能も備わっています。
経費報告や給与計算、源泉徴収票作成なども可能であり、適切な経理管理にもつながります。また、人材派遣会社が利益を確保するためには、派遣スタッフの稼働率向上が必要です。稼働率の向上のためには人材採用にも力を入れたいところです。
「jobs」は人材派遣会社向けの応募管理システム「HRコボット for 応募対応」との連携も可能です。何かと作業負担が増える応募対応を効率化することで、スムーズに人材を採用できます。
「jobs」は操作性も優れており、シンプルで分かりやすい管理画面が特徴です。トレーニングなしでも使いやすいため、システム操作が苦手な担当者でも安心して利用できます。経費管理を効率的に行いたい場合は、「jobs」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
経理管理の5つのポイント
経理管理を効率的に行うためのポイントを5つにまとめました。それぞれの内容を確認したうえで経理管理に活かしましょう。
・できるだけ短時間で精算できるようにする
・経理部門の業務効率化を図る
・現金を扱うリスクを考える
・経費の借入を最小限に抑える
・社員にミスなく経費を入力してもらう
できるだけ短時間で精算できるようにする
資金需要を正確に把握するためには、経費をできるだけ短時間で精算することが大事です。売上の計上に遅れることなく、経費も計上できれば経営の健全化にもつながります。できるだけ短時間で経費を精算するには、会計システムや経理管理システム、基幹システムの導入が必要です。
また、効率的に運用できるように社内でマニュアルやルールを策定して適正に運用していきましょう。
経理部門の業務効率化を図る
経費を精算する社員や部門だけではなく、経理部門そのものの業務効率化もポイントです。経費管理は会計知識が必要であり、社内の誰もが簡単に行える業務ではありません。さらに、経費管理の業務は煩雑であるため、いかにして作業を迅速にこなせるかが大事になってきます。
経理部門の業務効率を向上させるためには、やはりソフトやシステムの導入が必要です。経費管理に特化したツールや、経理業務を網羅できる基幹システムの導入をぜひ検討してください。
現金を扱うリスクを考える
経費精算で現金を扱うと、出納手続きに時間がかかります。また、現金の授受はミスが発生しやすく、正確に把握できない点がリスクです。経費を精算する際は、社員の銀行口座へ振り込むほうがリスクが少ないです。
社員の銀行口座への振り込みであれば、各種システムから送金データを作成して、システム上で処理をするだけです。もちろん、操作や処理するなかで絶対にミスがないとは言い切れませんが、現金による精算に比べて工程も少なく安全性が高いです。
経費の借入を最小限に抑える
経費管理を正確に行い、企業経営への影響を抑えるには、経費の借入を最小限に抑える必要があります。経費が膨らめば自社の財政が悪化するからです。そのため、経費を最小限に抑える仕組みを整備する必要があります。
経費申請のルール、経費の金額、システム導入による業務効率化など、経費管理に関わる全般的な内容を振り返り、課題を洗い出してください。そのうえで、売上予測などから経費額を算出し適切な運用につなげましょう。
社員にミスなく経費を入力してもらう
いくら優秀なソフトやツール、システムを導入しても、入力ミスが多発すれば導入した効果を得られません。入力ミスがないように社員に周知することはもちろん、使いやすいシステムを導入することがポイントです。
社員が理解するまで時間がかかるツールは、入力ミスや操作ミスが増えるからです。複数のシステムを比較して、使いやすいツールを選ぶ必要があります。
まとめ
経費管理は企業の業績に直結する重要な業務です。そのため、経費を正しく管理できる仕組みが必要です。各種ツールやシステムなどの導入、運用ルールやマニュアル作成などに取り組み、経費を適切に管理してください。
なお、中小規模の人材派遣会社においては、経理担当者の業務が煩雑になりやすいものです。すでにツールやシステムを導入していても、思うような効果を得られていない場合もあるでしょう。
「jobs」は中小企業の人材派遣会社向けの基幹システムとして、経費管理に活かせる機能が搭載されています。
操作性や直感性の高い管理画面であり、トレーニングに時間を割けない場合でも十分に使いこなせます。 経費管理や人材管理などを効率的に行いたい場合は、お気軽にご相談ください。