人材不足の影響により、近年多くの事業者や企業の間で人材確保に向けた新しい取り組みが進んでいます。
特に、応募者の管理や応募者の対応業務の改善は喫緊の課題となっており、オンライン面接のような新しい面接形態の導入もさまざまな領域で普及しています。
今回は、パート・アルバイト応募者のオンライン面接を実施するための方法について、必要機材やオフライン面接との違いについて注目しながら詳しく解説します。
オンライン面接とは
オンライン面接は、従来対面で実施してきた面接をオンラインで実施し、アルバイト応募者とコミュニケーションを取る取り組みです。
働き方改革や新型コロナウイルスの拡大に伴い、オンライン面接は新卒採用や中途採用の現場で積極的に導入されてきました。最近ではアルバイト面接においてもオンライン面接を実施する企業も増えつつあります。
インターネットを介し、カメラ越しに顔を合わせて面接を進めるため、最初はオフラインの面接との違いに慣れない人も少なくありません。しかし、慣れればそう難しいものではないだけでなく、オンライン面接の導入メリットが魅力的であることから、現場では積極的に活用されています。
オンライン面接と対面での面接の違い
具体的に、オンライン面接と従来のオフライン面接ではどのような違いがあるのでしょうか?明確な違いが表れるポイントとしては、次の3点が挙げられます。
- 面接を実施する場所
- 会話のテンポ
- 面接の進め方
面接を実施する場所
大きな違いとなるのは、面接を実施する場所です。
対面での面接の場合、大抵の場合は店舗や事務所など、普段業務を行っている場所へ応募者に来てもらい、業務の説明や志望理由の質問などを行います。
一方、オンライン面接の場合は、インターネット環境が整った静かに話せる場所が必要となります。面接に関係ない人がカメラに映ったり音を立てたりしないような場所で、応募者との面接を行います。
また、応募者も直接業務を行う場所に訪問することはなく、自宅や学校などの自分の生活圏内のスペースで面接に臨みます。お互いに自分にとって親しみのある場所で行えるため、オンライン面接の方がリラックスしてコミュニケーションができるという場合も少なくありません。
会話のテンポ
会話のテンポも、オンライン面接では独特のものとなるため、最初は戸惑ってしまうこともあるでしょう。
オフラインの対面面接の場合、リアルタイムで顔を合わせながらコミュニケーションを取るため、ボディランゲージや空気を読み取りながら会話をすることができます。
一方、オンライン面接では、実際に配信されている音声や映像には若干のタイムラグがあるため、対面でのコミュニケーションで話すよりもゆっくりとしたテンポで話すことが求められます。
お互いに言いたいことや聞きたいことを話し終えてから話し始めるため、結果的に落ち着いたテンションで話せることがオンライン面接の特徴です。
面接の進め方
オンライン面接の場合、会話の順番や段取りがオフラインのコミュニケーションとは若干異なる場面もあります。
たとえば、オフラインでの面接の場合、応募者と対面した際には世間話などでアイスブレイクを図ることが一般的です。一報、オンライン面接では、世間話は最後にすることも珍しくありません。
電話と同様、初めに用件を伝えたりテーマとなる質疑応答を行ったり、用件が終わった後に世間話を挟んだりして、関係性をつくっていく手法が企業などで定着しつつあります。オンライン面接の場合にテンポが狂ってしまうと感じる場合には、このような従来とは異なるアプローチでコミュニケーションを取る意識も必要になります。
オンライン面接のメリット
オンライン面接は従来の面接とは異なる文化があるものの、導入することで得られるメリットは大きく、さまざまな企業で効果を発揮しています。ここでは、面接をオンラインで実施することによるメリットについて解説します。
- 全国から多様な応募者を募集できる
- 応募者の母数を増やして優秀な人材を発掘できる
- 面接内容を録画できる
全国から多様な応募者を募集できる
オンライン面接の最大のメリットは、応募者の母数を圧倒的に増やすことができる点です。
従来のアルバイト募集の場合、募集対象者は近隣のエリアの人に限定されるケースが一般的であり、遠方から応募者を募ることは困難でした。特殊なアルバイトや短期のリゾートバイトなどでは遠方から応募者を募るケースもありますが、長期のアルバイトで交通費を支給してまで募集することは、基本的にあり得ないと考えられてきました。
しかし、オンライン面接であれば面接の実施に伴う移動が発生しないため、全国の応募者が気軽にバイトに応募できる環境を整えられます。来月から上京するため、アルバイト先を事前に決めておきたいといった需要にも簡単に応えられるため、採用人材不足に悩む心配はなくなるでしょう。
応募者の母数を増やして優秀な人材を発掘できる
オンライン面接の導入でアルバイト応募者の母数を増やすことで、人材不足から解消されるだけでなく、優秀な人材の発掘にも役立てることができます。
人材不足とはいえ、できることなら生産性の高い優秀な人材を確保したいというのが多くの事業者の望むところですが、応募者の数が増えれば増えるほど、優秀な人材を発掘しやすくなります。
オンライン面接であれば一つひとつの面接を効率良くこなせることもあり、たとえ応募者が増えても業務負荷が大幅に増大することはありません。また、応募者が増えれば自社と相性の良い人材も探しやすくなるため、ミスマッチを回避することも可能になります。
面接内容を録画できる
重要な業務を担える人材を選び抜くためには、面接担当者だけで応募者を評価するのはリスクがあると考える企業もあるかもしれません。
オンライン面接の場合、面接内容を録画し、後で複数人に共有の上、採用者を選定することが可能です。一度に複数の担当者がスケジュールを合わせて面接に参加する必要がなくなるため、柔軟なスケジュールで面接を実行できるほか、面接官の面接内容そのものを評価・フィードバックするための資料としても活用できます。
オンライン面接のデメリット
オンライン面接には魅力的なメリットが多くある一方で、実施にあたってはデメリットにも注意する必要があるでしょう。ここでは、面接をオンラインで実施することによるデメリットについて解説します。
- 対面とは異なるコミュニケーションスキルが必要になる
- 通信環境の整備が求められる
対面とは異なるコミュニケーションスキルが必要になる
先ほども触れたように、オンライン面接にはやや特殊なコミュニケーションスキルが必要です。会話のテンポを対面よりも遅くしたり、面接の順番を工夫してみたりと、実際にやってみなければわからないこともあるものです。
そのため、オンライン面接の導入当初は「応募者とうまくコミュニケーションができない」「応募者評価のための十分な情報が得られない」などの課題が出てくることでしょう。そのため、改善を加えながら気長に実施してみることが大切です。
通信環境の整備が求められる
最近では多くの事業者がインターネットを活用しているため、現場にインターネットが導入されていないというケースはあまり多くなくなりました。
ただ、オンライン面接を実施する際には安定した高速通信を利用できなければ、映像が止まったり、音声が正しく聞き取れなかったりといった問題が発生することもあります。
ポケットWi-Fiのような弱い回線を利用している場合、このような問題が発生し、正しく面接を行えない可能性があります。オンライン面接を行う現場のネット環境を見直し、必要があれば回線を最新のものに契約し直すなどの対策が必要です。
オンライン面接の実施に必要なもの
では、オンライン面接を実施するにあたって必要なものには何があるでしょうか?ここでは、面接をオンラインで実施する際に必要なものを紹介します。
- PC(パソコン)
- Webカメラ
- オンライン会議ツール
PC(パソコン)
オンライン面接は、基本的にPCを使って実施します。オンライン面接においては、PC本体の性能よりもインターネット環境に左右される部分が大きいため、普段業務で使用しているものがあれば、それを使用して面接を行うので問題はないでしょう。
PCはデスクトップでもラップトップ(ノートパソコン)でも構いませんが、オンラインで応募者と会話するにあたって差し支えない場所に移動する場合は、ノートパソコンの方が利便性は高いでしょう。
PCが手元にない場合、スマホやタブレットでも面接を行うことは可能です。ただし、資料などの共有がしにくかったり、面接を片手間で行っていると思われてしまい、応募者に悪印象を与えてしまったりする可能性があります。
そのため、可能な限りPCで実施することをおすすめします。
Webカメラ
オンライン面接は非対面とはいえ、お互いに顔を見せ合いながら行うことが一般的です。そのため、オンライン通話に対応しているWebカメラの導入が必要です。
近年のノートパソコンはWebカメラを標準搭載しているモデルも多いため、すでにカメラが搭載されている場合はそちらを使用すれば問題ありません。
Webカメラが搭載されていないPCを使用する場合は、別途Webカメラの購入が必要です。最近では高性能なWebカメラも次々と登場していますが、特別な理由がない限りはリーズナブルなカメラで差し支えはないでしょう。
オンライン会議ツール
オンライン面接を行うためには、専用のツールをPCにインストールする必要があります。一般的にはオンライン会議ツールとして知られており、社内でメンバー同士がコミュニケーションを取るために使用されています。
オンライン面接を行う際も同じツールが用いられており、すでにツールを運用している場合には、そちらを使用して面接を行えば問題ありません。
オンライン会議ツールは無料で利用できるものも多いですが、無料版は通話時間が限定されているなどの制約も多く、あくまでもお試しでの運用に限定することが望ましいです。本格的にオンライン面接を実施する場合には、有料版のサービスを利用することをおすすめします。
オンライン面接時に意識したいポイント
オンライン面接を行う際には、意識的に取り組むことでコミュニケーションを円滑に進めることができるコツがあります。最後に、面接時に意識すべきポイントを解説しましょう。
- 静かな空間をあらかじめ用意する
- 対面時よりもわかりやすいリアクションを心がける
- オンライン面接に慣れていない応募者向けの案内を用意しておく
静かな空間をあらかじめ用意する
まず、リラックスして面接ができる場所を用意しましょう。
対面での面接同様、面接官と応募者が一対一で話せる環境を作り、周囲の環境音などは極力回避することが大切です。静かな空間を用意できない場合は、騒音が比較的少ない場所や人口密度の低い場所を選び、プライバシーが守られているような環境を作りましょう。
対面時よりもわかりやすいリアクションを心がける
オンライン面接の場合、会話のテンポがゆっくりであったり、カメラ越しに相手の様子を確認したりしなければならないため、話を聞く際の態度もそれを踏まえたものであることが大切です。
対面面接のように、相手の話していることに対してただ頷いているだけでは「話を聞いてもらえてないのでは?」と感じさせてしまうことがあります。そのため、頷きを大きくしたり、身振り手振りを大袈裟にしたりしてみることでコミュニケーションを深めましょう。
オンライン面接に慣れていない応募者向けの案内を用意しておく
オンライン面接は、ここ数年で導入が始まった新しい手法であるため、アルバイトの応募者でもこの形態に慣れていない人の方が多いでしょう。
そのため、面接の日程を打ち合わせる際にはオンライン面接を行う旨を伝え、面接に当たって何が必要か、どんな会議ツールを使うのかなどをあらかじめ丁寧に伝えておきましょう。
まとめ
オンライン面接は、応募者の移動コストがかからないだけでなく、事業者側も面接のコストそのものが小さくなるため、積極的に活用したい手法です。対面での面接とは多少の違いはあるものの、慣れてしまえば大きな障害となることはないため、従来よりも効率的な採用活動が実現できるでしょう。
オンライン面接を実施する際にはあらかじめ必要なものを揃え、オンライン面接に最適なコミュニケーションのコツを押さえた対話にトライしてみましょう。
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